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北側「李政権と統一論じる余地なし」 北南協力交流事業 存続の危機

対決政策が招いた「全面遮断」

 北南関係は凍結から一触即発の緊張状態に至った。北南協力と和解の象徴である金剛山観光と開城観光中断、開城工業地区からの南側人員の選別追放など事実上、全面遮断に至った原因は全的に李明博政権の反北対決姿勢にある。事態収拾の手立ては、李政権の対北政策の転換しかない。

北の警告を無視

 北南将官級軍事会談北側代表団団長は11月24日、南側当局に▼開城工業地区と金剛山観光地区の当局関連機関と企業の常駐人員および車両を選別追放、軍事境界線の陸路通行遮断▼開城観光の全面遮断▼鳳東−汶山間の南側列車の運行中断▼南側人員の軍事境界線通行制限などを12月1日から実施することを通告した。

 北側は今回の通告を事前に予告していた。11月12日、北側代表団団長は南側の対決姿勢への対応措置として軍事境界線を通じたすべての陸路通行を「制限、遮断」すると表明。今回、その具体的措置が明らかになった形だ。今後さらに追加的な対応措置が取られる可能性もある。

 現在、北側は対決姿勢を取る「李明博政権とは北南関係と統一問題を論じる一顧の余地もない」(祖国平和統一委員会、11月22日)との立場を示している。

 北側は今年2月の李政権発足後、その対北政策を慎重に検討、分析してきた。4月以降、6.15共同宣言、10.4宣言に対する立場を明確にするよう求め、もしも両宣言を無視するような対応を取れば「北南関係は凍結し朝鮮半島の平和と安定が破壊される」(労働新聞論評員、4月1日)と再三再四警告してきた。

 しかし、南側の両宣言棚上げの姿勢に変化はみられなかった。最近に至っては、李政権の許容の下で民間の反北団体が北側の首脳部や体制を非難する内容のビラ散布を続け、政権当局者も北の「クーデター」や「急変事態」について公言するに至っている。

 北側は10月16日、労働新聞論評員の記事を通じて南側の対決姿勢が危険水位を越えたと指摘し、「北南関係の全面遮断」の可能性を示唆した。ところがこの警告を無視するかのようにその直後、大統領自ら外交安保政策調整会議(10月18日)を主宰し「対北強硬基調の維持」を指示した。今回の事態は李政権が自ら招いたものだ。

 今回の措置に先立ち、朝鮮赤十字会は11月12日、板門店の赤十字連絡代表部を閉鎖し、北側代表を撤収させ、板門店を経由した北南直通電話回線の閉鎖を宣告した。これは、1971年の代表部設置と直通電話開設以後、初めてのことだ。

事態収拾を回避

 就任以後、日ごとにあらわになる李政権の反北、反統一姿勢によって、2000年以降着実に前進してきた北南関係はそれ以前の状態へと後退してしまった。

 11月18日、金剛山観光が開始から10年を迎えた。航路を通じて始まった同観光はその後さらに、陸路、さらに自家用車での往来も可能になった。この間、約195万6000人の南の市民らが金剛山を訪問。また、北南閣僚級会談や赤十字会談など当局間会談が開催されてきた。

 李政権は金剛山観光実現の歴史的経緯とそれまでの実績を無視し、今年7月、南側の観光客射殺事件を口実にして一方的に中断に追い込んだ。

 「失われた10年」を云々して金大中、盧武鉉両政権の対北政策を全否定し、金剛山観光の収入が「北の核開発資金に転用された」などと公言した。

 一方、開城工業地区については、北側の軍事境界線の通行制限、遮断警告に対し、同地区で事業を展開している企業や関係者が「最悪の事態に備え対策を講じるべき」だと政府に要請したが、「待つことも戦略」(李大統領、11月12日)だと北との協力事業を行う企業家たちの声を黙殺した。

「一触即発」の状態

 北南問題は、朝鮮半島が外部の勢力によって不本意に分断された結果、発生したもので、その解決は全面的に民族内部の問題だ。

 「わが民族同士」精神を明らかにした6.15共同宣言が統一の里程標となり、北側がこの精神に沿って問題を自主的に解決し発展させようと努力を傾けるのもそのためだ。北側の原則的立場に変わりはない。

 政策是正を求める内外の世論が高まる中、李政権は北側に対し通信資材の提供を提起(11月13日)し、右翼保守勢力による反北ビラ散布の法的制裁を「検討」(11月17日)するなどのポーズを示したが、対決、外部勢力追随の政策基調はなんら変えていない。

 最近も、米国を訪問した李大統領は記者懇談会(11月16日)で「自由民主主義体制での統一が最終目標」などと発言した。

 北側は、この発言を統一の原則を完全に無視した「暴言」と受け止め、「最終目標」とは北側に対する「侵略戦争」を意味すると指摘。李政権は、「6.15、10.4を否定する段階を超えて国際舞台で北侵戦争を宣言するに至った」(祖平統、11月22日)と非難した。今回の北側の措置はこうした判断に基づいている。

 現在の状況について北側は、「対決と緊張だけの一触即発の激動状態」(労働新聞11月24日付)との認識を示している。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.11.28]