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〈月間平壌レポート -08年7月-〉 2つのマスゲームが開幕

日本人訪朝者、口々に「報道とは違う」

 【平壌発=鄭茂憲記者】「早く15日が過ぎればいいのに」。8月初旬、炎天下の下、知人が隣でタバコをふかしながらつぶやく。聞けば、平壌では15日を境に気温が下がり秋らしさが漂うという。事実、15日の祖国解放記念日を過ぎてから、真昼の暑さは残るものの、朝夕には涼しい風が吹くようになった。日本の夏に比べると、湿度の低い平壌の暑さはそれほどでもないと記者は感じるのだが、現地の人たちは「いやになるほど暑い」と口にする。彼らが東京の夏を体験したら、どんな言葉を発するのだろうかと想像してみた。

多くの外国人の姿

「繁栄あれ祖国よ」を観覧する外国人観光客 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 のべ10万人が出演する、世界最大のマスゲームとしてギネスブックに認定されている大マスゲーム・芸術公演「アリラン」が4日、メーデースタジアムで開幕した。

 2002年の初公演を皮切りに、05年、07年と公演を重ねてきた。08年度版は、基本的なストーリーは過去のものが踏襲されているが、新たな章も導入され、観客たちに新鮮さと大きな感動を与えている。

 また今年は、建国60周年を記念するマスゲーム「繁栄あれ祖国よ」が、「アリラン」と同じメーデースタジアムで12日から始まった。公演時間は1時間だが、朝鮮の60年の歴史が凝縮されている。

 4日と12日の両開幕日、観客席を見渡すと、特等席や一等席に、カメラを片手に驚きの歓声を上げる外国人たちの姿を多く見かけた。

 日本人団体の訪朝が、近年ではもっとも多かったのも今夏の特徴だ。

 拉致問題をタテにとる日本当局の対応によって、朝・日関係がなかなか前進しないなか、民間レベルで交流をはかろうとする動きが活発化している証だ。

 初めて訪朝した日本人たちがそろって口にする言葉が、「日本の報道と、朝鮮の現実はあまりにも違う」というものだ。また「教育水準の高さに驚かされた」と語る人たちも多かった。

 日朝友好女性訪朝団(6〜13日、20人)の清水澄子団長(元参議院議員)は、朝鮮と日本の間に横たわる問題に真しに取り組むと日本自身が抱えている問題点が見えてくると指摘した。

落胆と朗報の五輪

 8日、中国・北京でオリンピックが開幕した。世界のスポーツの祭典は、朝鮮でも関心が高く、テレビでは連日、多くの競技が放映された。

 大会前、朝鮮の人たちにとって最大の注目は、女子柔道のケ・スニ選手と女子サッカーだった。

 しかし、世界柔道の「女王」とも言えるケ選手が2回戦でまさかの敗退。テレビでもその試合が放映されたが、金メダル獲得に大きな期待をかけていただけに、朝鮮の人たちの落胆ぶりは大きかった。

 一方、アジア王者の女子サッカー。初戦で、アフリカ王者のナイジェリアに勝利を収め、さらにその期待は高まったが、ブラジル、ドイツに敗退し、予選リーグで涙をのんだ。

 それでも朝鮮は、女子重量挙げと女子体操跳馬で頂点に輝いた。また柔道などで銀、銅メダルに輝き、計6個のメダルを獲得した。メダル獲得の情報が伝えられると、人々は「よくやった」と歓喜に包まれていた。

 女子体操の跳馬で金メダルを獲得したホン・ウンジョン選手(平壌市体育団)は、まだ19歳と若く、これからさらに期待がかかる選手の一人だ。

 彼女の姉、スジョン選手(21)も同じ平壌市体育団の体操選手だ。朗報に「われも忘れて涙が溢れた」と話す。

 スジョン選手も跳馬を得意としているが、実は、国内の選手選考で、姉妹は最後までデッドヒートを繰り広げた。幼い頃からともに体操を始めたよきライバル関係でもある。

 次回、2012年のロンドン大会、姉妹の競演に期待がかかっている。

[朝鮮新報 2008.8.27]