top_rogo.gif (16396 bytes)

「一日15分」で効果抜群 黄海南道・達泉温泉

腰、足の治療で有名な療養施設

 【平壌発=文・鄭茂憲、写真・盧琴順記者】朝鮮には温泉で治療を行う療養施設がいくつも存在する。婦人病の治療で有名なのは咸鏡北道のチュウル温泉だが、黄海南道三泉郡にある療養施設、達泉温泉は足や腰の治療に効果が抜群だと評判だ。

長期療養者が滞在する「療養村」

 達泉温泉を訪れた日、その日が長期療養者の入所日と重なったこともあり、松葉杖をついたり車椅子に乗った人たちを多く見かけた。

 入所した人たちは、30日間の温泉治療を受ける。「30日あれば、効能が発揮されるからだ」と話すのは、達泉温泉のク・ギョンモ副所長(48)。「松葉杖をつきながら入所した人たちが、1カ月後には自分の足で歩いて帰っていく」。 

 達泉温泉は椎間板の損傷やリュウマチなど、腰や足以外にも、高血圧、慢性胃炎、神経疾患、婦人病や術後の回復に良いとされる。ク副所長によると、腰や足の治療効果は98%だという。

 水質は、鉱物を多く含んだラドン温泉で、湧き出る温度が45度のため、いっさい加工されることなく利用されている。 療養施設に入所した人たちは、医師たちの検診を受け、入所手帳を手にした後、温泉治療を開始する。同温泉では、医師、看護師、薬剤師など計72人が従事している。

 温泉治療は、一日一回、それも10〜15分間しか行われない。その理由は、効能が強く、それ以上続けると心拍数が上がりすぎて心臓に負担をかけてしまうためだ。そのため、血圧が180以上ある人は入所できないという。

 朝鮮の人気映画にも出演している俳優のキム・ヨンフンさん(64)もここで治療を受けている。4年前から通っている常連だ。

 彼は、1986年に映画撮影中の事故で腰を強打し、自力で10メートルも歩けなくなるほどのケガを負ったという。「その後にいろいろな病院を回ったが、一向に良くならなかった。それでここで治療を受けるようになった。今では撮影に何の支障もないくらいに回復した」とスタスタと歩いてみせた。キムさんは、7月に始まった映画の撮影を前にして、今年も達泉温泉を訪れたそうだ。

700人収容の療養村

施設には個室や家族風呂もある(写真は個室)

 この温泉施設の正式名称は、「保健省達泉栄誉軍人療養所」(2000年11月15日改称)だ。

 もとは負傷した軍人のための療養施設として利用されてきたが、今では朝鮮各地から治療に訪れる人が後を絶たない。

 朝鮮では温泉を利用した病気の治療や予防治療が大衆化されており、近年では全国各地の主要温泉が療養村として整備され、一定期間そこで宿泊しながら、治療を受けられるという。

 達泉温泉もその中の一つで、収容能力は700人を誇る。また、ここでの治療はすべて国家負担。人びとは無償で治療を受けられる。

 朝鮮の天然記念物第453号に指定されている達泉温泉は、1400年代末期に発見されたと言われ、「チョンダル温泉」の名で愛されてきた。その昔、足が折れたチョンダルセ(ひばり)が飛んできて、この温泉に浸かって治したとされ、その名がついた。「朝鮮でも『達泉』と『チョンダル』が別の温泉だと思っている人がいる」とク副局長は笑った。

[朝鮮新報 2008.7.23]