〈今月の金正日総書記−4〜5月−〉 農業、畜産、水産部門を視察 |
4、5月に伝えられた金正日総書記の活動の大半は軍部隊視察だった。また、約3カ月ぶりに江原道や咸鏡北道など地方への経済視察も伝えられた。 3カ月ぶりの経済視察
5月4日発朝鮮中央通信によると、総書記は江原道にある高山果樹農場を現地で指導した。経済部門への指導が伝えられるのは、1月29日以来約3カ月ぶり。1947年に設立された同農場は現在、国内屈指の果物生産拠点の一つだ。 総書記は、農場で果物の生産状況と果樹栽培作業の機械化の実態を「詳細に了解」し、農場に提起される課題を示した。 同通信によると総書記は、▼収穫量が高く味もよい優良樹種と品種を植え、▼栽培作業の総合的機械化を実現し、▼果物加工工場を建設、▼現代的な大規模農場に発展させることなどについて指摘した。 国際的に穀物価格が上昇し、各国で食糧問題が焦眉の問題となるなか、朝鮮も例外ではない。 国内メディアは「人民生活の水準を高めるうえで穀物生産を増やすことより切実で重大な課題はない」(労働新聞5月10日付社説)と強調。とくに昨年8月、豪雨に見舞われ各地の農耕地が冠水したこともあり、国内では緊迫した現実に対処するさまざまな対策が講じられている。 5月に入り総書記は、農産、畜産、水産の各部門を相次いで現地で指導した。 咸鏡北道にある清津ヤギ牧場(5月12日発朝鮮中央通信)では、良質の乳製品の生産を絶えず増やすことについて強調し、「厳しい試練と苦難を果敢に乗り越えてきたわが人民に、より裕福かつ文化的な生活を与えるべき」だと述べた。 咸鏡北道吉州郡にある吉州農場を指導(5月13日発朝鮮中央通信)した際には、「現在、人民の食糧問題、食べる問題を解決することより切迫かつ重要なことはない」(労働新聞5月14日付)と述べ、「耕地面積が限られているわが国の実状で食糧問題を解決するには1ヘクタール当たりの収穫高を画期的に高めなければならない」と強調した。 金策大興水産企業所(5月13日発朝鮮中央通信)では、「科学的な漁労体系」をよりしっかり立て、「新しい漁場の探索を将来を見越して行うべき」だと指摘、水産業発展のための課題と方途を示した。 引き続き親善関係強調 外交面では朝中親善関係をアピールする動きが引き続き目立っている。 総書記は4月29日、中国・山東省で起きた列車事故(4月28日)に関連して胡錦濤国家主席に慰問電を送った。5月13日には、四川省汶川県で発生した大地震(5月12日)で胡主席に慰問電を送り、深い同情と慰問の意を表した。朝鮮政府は地震被害復興のために中国政府に10万ドルの資金を提供した。 一方4月28日、平壌で初めて五輪聖火リレーが開催された。一部の国で妨害行為が繰り広げられたが、朝鮮は北京五輪聖火リレーに対する積極的な支持を表明。平壌での聖火リレーが成功裏に行われたことで、劉暁明駐朝中国大使は、総書記に感謝の手紙と贈物を送った。 北関大捷碑訪れる 目を引く動きとしては北関大捷碑を訪れた(5月13日発朝鮮中央通信)ことがあげられる。金策市臨溟里にある同碑は、壬辰祖国戦争(文禄・慶長の役)当時、鄭文孚義兵隊が咸鏡道に侵入した日本侵略軍を掃討して大勝利を収めたことを記念して1708年に建てられたもの。同碑は1905年、日本軍によって略奪され靖国神社に置かれていた。05年10月、北南の民間団体と当局の要求により、日本からいったん南側へ渡り、06年3月1日、もとあった咸鏡北道金策市に戻すべく、北側に引き渡された。 総書記は北関大捷碑について、「倭賊(日本)の侵入に反対して勇敢にたたかったわれわれの先祖の闘争史に関する研究と、民族第一主義思想を教育するうえで意義がある」としながら「立派に保存、管理し、それを用いた実質的な教育を行うべきである」と述べた。 相次ぐ軍部隊視察 4、5月の2カ月間に14回の軍部隊視察が伝えられた。昨年上半期の軍部隊視察回数(8回)をすでに上回っている。 総書記は、視察先で部隊の戦闘力の強化と軍事訓練についてとくに強調した。 民主朝鮮が5月13日付の論評で、「南朝鮮軍部勢力らが北侵戦争策動に血道を上げている」「最近、彼らは最新戦争装備の導入を急ぐ一方、空軍の南朝鮮・米国連合訓練をはじめ各種名目の戦争演習を相次いで行っている」と指摘したように、朝鮮半島周辺の軍事的緊張が高まっていることも軍部隊視察増加の理由のひとつとして考えられる。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2008.5.30] |