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〈月間平壌レポート -08年5月-〉 建国60周年に向け活気

時代の新たな局面

 【平壌発=姜イルク記者】5月に入り、9月の建国60周年に向けた動きが活発化している。

全面改修工事

石炭を積んで坑から出てくる運搬車両(平安南道順川の霊坮炭鉱。撮影=盧琴順記者)

 都市美化事業の一環として平壌市内の各所では道路工事や建物の補修が行われている。首都は日ごとにその姿を変えている。

 道路工事には軍人が動員されている。工事を行う数キロメートルの区間を全面通行禁止にするという手法は少々手荒い感もある。主要道路から工事を進めているので迂回道路が混雑し、所どころで渋滞も見られた。しかし数日後にはきれいにアスファルト舗装され、車線もくっきりとひかれた。

 歩道の舗装は地域住民が担当している。色とりどりのブロックが敷かれ、街なみはいっそう明るくなった。

 一方、平壌市内の有名なレストラン街である蒼光通りでも全面的な改修工事が行われている。今後、各店舗の内装や看板、外壁が新たになる。

 また大同江のほとりでも、平壌大劇場前から河口に向かって数キロメートルの区間が工事中だ。文繍院などの代表的な大衆娯楽施設も改修されている。工事区間のあちこちでは古いアパートが取り壊される光景も見受けられた。

 ほとんどの工事の期限は建国記念日である9月9日の前に設定されている。労働者らは完工目標に向かって一生懸命に汗を流していた。

 8月の初めからは、延べ10万人が出演する恒例の大マスゲームと芸術公演「アリラン」、そして建国60周年を記念して新たに創作されたマスゲーム「繁栄あれ祖国よ」がメーデースタジアムで上演される。

 金日成広場など市内の各広場で練習する出演者らの姿が、活気づく市内の雰囲気をさらに盛り上げていた。

 建国60周年に向けた盛り上がりは平壌市だけのものではない。

 各地の工場、企業所は増産の目標を掲げている。電力、石炭、金属、軽工業部門などでの成果は、労働新聞など国内各紙の紙面を連日にぎわせている。

 本紙平壌支局のスタッフ一行は16日、平安南道順川地区の霊坮炭鉱を訪れた。

 昨年夏の大雨で6つのうち2つの坑道が浸水したが、今は正常な生産活動が行われている。

 235人の部下を率いる第6坑道の責任者、キム・ウンシクさん(49)は「全国のすべての部門ががんばっている。われわれだけ遅れをとってはいられない」と気持ちを引き締めていた。また、炭鉱労働者らの士気はとても高いと強調した。

 建国記念日へ向けて高揚する国内の雰囲気は、経済の各部門が互いに刺激しあう相乗効果を生んでいた。

 一方、5月から各地の農場で田植えが始まった。メディアは、穀物増産で建国60周年を輝かせようと田植えに励んでいる各農場の雰囲気を伝えている。

「制裁」でも多数訪朝

 日本当局による対朝鮮「制裁」再延長にもかかわらず、ゴールデンウィークを迎えた日本から同胞祖国訪問団、日朝友好団体の訪朝団が相次いだ。

 今年は、訪問が初めてという同胞が大きな割合を占めているのが特徴だ。

 初訪問の同胞らは活気づく平壌の姿を実際に自分の目で見て、「イメージとまったく違った」と口をそろえていた。

 5月中旬に初訪問した67歳の女性同胞は、「なかなか決心がつかなかったが、今はもっと早く来ればよかったと思っている。未来のために汗を流している人びとの姿を見て感銘を受けた」と話していた。

 3日から7日まで訪朝した「日朝友好なにわのつばさ2008」(団長=日朝市民連帯大阪の永久睦子共同代表)のメンバーらも一様に、「日本の報道と朝鮮の現実は全く違う」と感想を述べていた。

 日本のメディアがいかに偏見に満ちた報道を続け、知らず知らずの間に朝鮮に対する否定的なイメージができあがってしまったのかを実感していた。

 一方、朝鮮のメディアは17日、米政府が朝鮮に食糧50万トンを提供することを決定したといっせいに報道した。

 外部では「北朝鮮の緊迫した食糧事情」が引き続き報道されているが、米政府の決定に関して市民らが注目したのは、国内の報道が米政府の食糧提供は「朝米人民の間の相互理解と信頼増進に寄与するだろう」(朝鮮中央通信)と指摘した点だ。

 1950〜53年の朝鮮戦争から半世紀以上も続いてきた米国との敵対関係が、ついに解消されるかもしれない−市民らは、そんな新たな時代の到来を予感していた。

[朝鮮新報 2008.5.28]