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相次ぐ地域別の祖国訪問団 「同胞訪問運動」活性化の契機に

祖国で同胞たちをつなぐ

 【平壌発=文−鄭尚丘、写真−盧琴順記者】「何にも代えがたい意義深いものだったとみんなに報告したい」と祖国を訪問した同胞たちは語る。総連兵庫県同胞祖国訪問団(19人)を皮切りに、4月末から相次いで各地の同胞たちが祖国を訪問している。「同胞訪問運動」の一環としての祖国訪問事業が力強く動き出している。

兵庫 訪問ネットワーク形成

板門店を訪れた兵庫、大阪同胞祖国訪問団

 兵庫の同胞たちは、今年初となる地方ブロックでの祖国訪問を、4月30日〜5月7日までの日程で行った。続いて総連大阪府同胞祖国訪問団(39人)が、日朝友好の市民団体らで構成された「日朝友好なにわのつばさ2008」(13人)と同じ空路(中国経由)で、5月3〜7日までそれぞれ訪問した。第23回同胞祖国訪問団も、兵庫同胞訪問団と同じ日程で祖国を訪問した。8日には、第25回同胞祖国訪問団が平壌に到着した。

 これらの訪問団はいずれも空路での出入国だ。4月13日、日本当局による対朝鮮「制裁」が再延長され、「万景峰92」号による訪問の道が断たれたためだ。

 兵庫訪問団は今年の2月から祖国訪問の準備に取りかかった。「制裁」解除の展望が絶たれた後も、計画通りに訪問事業を進めた。

 「『制裁』されているからといって、祖国と同胞との距離が遠くなることはない。『祖国訪問ネットワーク』を広く形成することで、『同胞訪問運動』にも拍車がかかり、地域の運動が活性化することはすでに証明されていること」と兵庫訪問団の李晴子総務(総連兵庫県本部権利福祉部副部長)は語る。

 今回の兵庫訪問団には6人の初訪問者をはじめ、民団同胞や帰化者など幅広い層の同胞が含まれており、従来の訪問事業とは少し色合いが異なったという。

 西神戸支部のデイサービス「イオ神戸」の職員、金森美子看護師(60)は帰化同胞だ。

 訪問の目的は「父の故郷、平壌をこの目で見ること」。「イオ神戸」の職員や利用者の後ろ盾もあり、初めての訪問に踏み切った。

 市内を散策する途中に東平壌大劇場にたどり着いたとき、「イオ神戸」の利用者たちがニューヨーク・フィルハーモニックの平壌公演(2月)の映像を観て大喜びしていた姿を思い出したという。敵対関係にある米国の交響楽団が平壌で公演するということは、同胞たちに平和と統一の兆しとして映った。

 金森さんは「統一を心から望む1世たちの心情が平壌を訪れたことで深く理解できるようになった」「今まで知らなかった同胞たちと出会うこともできた。今度は姉を誘って再び訪れたい」と話した。

 京都大学大学院で考古学を専攻する金宇大さん(25)さんも今回が初訪問。道路の広さにまず驚いたという。しかし、「よくよく考えれば、将来を見越した設計だということがわかった。いくつかの国を一人旅したが、このような国は見たことがない」と金さん。「日本の友人には、日本メディアが決して伝えることのない安全で意義深い訪問の日々だったと報告したい」という。参観した博物館で考古学の貴重な資料を得ることもできたと満足そうに話した。

 李総務は、「同胞と祖国をつなぐことは、顔も名前も知らなかった同胞たちをつなぐことでもある」と指摘する。「同胞社会にある需要の発掘いかんで、『同胞訪問運動』の大きな器として、同胞社会自体をネットワークできる可能性を秘めている」と祖国訪問事業の意義を強調した。

大阪 団結、交流を深める

妙香山で祖国の親族と楽しいひとときを過ごす大阪同胞祖国訪問団

 大阪訪問団は4泊5日の日程で祖国を訪問した。39人中12人が初めての訪問だった。

 大阪では支部を中心に訪問準備を進めてきた。中でも東大阪南、東、北、河北の4つの支部が大きな役割を果たした。

 河北支部の鄭豊和委員長は、「支部の役員たちも、気がつけば28年ぶりの顧問をはじめ長期にわたり訪問を果たせていなかった。支部の活動をよりいっそう活性化するためにも、訪問は絶対に必要だと考えた」と語る。

 地域の朝鮮学校である城北初級の創立50周年を来年に控えた河北支部にとって、今回の訪問には特別大きな意義があった。地域の誇りである学校の創立50周年を輝かせるためには、地域の団結が不可欠だ。

 鄭委員長は、支部の中心人物たちと共に訪問を果たせたことは今後大きな意味を持つことになると語りながら、「力強く発展する祖国の姿を共に確認することで、新しい勇気と力を共有することができた」と振り返った。同胞たちも「支部の団結が深まった。地域一丸となって『同胞訪問運動』を盛り上げていきたい。友人を一人得ることから始めたい」と、新たな決意を披露していた。

 大阪訪問団のメンバーらは一様には祖国訪問を通じて「大きな力を得た」と話していた。

 とくに、家族、親せきとの面会を果たした同胞たちは、数年前までの訪問では心配事も多く、親族と離れるのが心苦しい思いだったが、今回は安心して帰れるとほっとした様子だった。

 大阪訪問団の高元亨副団長(東大阪南支部副委員長、非専従)も親族との面会を通して安心を得た一人。 「道行く女性たちも以前よりどこか洗練された印象を受けた。街は活気にあふれていて、建国60周年を迎える9月が今から楽しみだ」。

 日本に帰ってからは商工会結成60周年行事の準備を進め、祖国の発展に合わせて盛大に執り行いたいと話した。

 大阪訪問団の金龍元団長(総連大阪府本部権利福祉部長)は「『日朝友好なにわのつばさ』との交流会もあり、『同胞訪問運動』の活性化に限らず、朝・日の友好も深めることができた。祖国訪問の準備、実行を通じて得るものは大きい」と強調した。

 また、総連と関わりのなかった同胞たちから「総連があるから祖国の親族たちに会うことができる」という言葉を今回の訪問でも聞くことができたという。「同胞社会をより力強くネットワークしていきたい」と決意を語った。

[朝鮮新報 2008.5.14]