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そこが知りたいQ&A−最高人民会議、何が決まったのか?

経済4先行部門に総力集中 科学技術新発展計画も発表

 既報のように、最高人民会議第11期第6回会議が9日、平壌で開かれた。同会議で承認された今年の内閣の課題と目標、予算編成の特徴などについて解説する。

 Q 昨年の活動はどう総括されたのか。

経済の各部門では今年の目標達成に向けた生産活動が行われている(写真は平壌大城タイヤ工場) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 A 内閣の活動について報告した金英逸総理は、「朝鮮労働党の独創的な先軍革命指導のもと、朝鮮の政治的・軍事的威力が全世界に誇示され、経済強国の建設において新たな局面が開かれた闘争と前進の1年」だったと振り返った。

 経済に関しては、「国の潜在力と人民の創造的能力を誇示する貴重な成果が収められた」と評価し、「全国的に数千の工場、企業所が経済計画を超過遂行し、工業総生産が増え、自立的民族経済の基盤がいっそう拡大、強化された」と指摘した。また、2003−2007年までの国家科学技術発展5カ年計画における重要課題が遂行されたことを強調した。教育、保健医療、文化・芸術、スポーツ部門での成果にも言及した。

 Q 今年の目標、課題は。

 A 朝鮮労働党は昨年、「金日成主席生誕100周年にあたる2012年に強盛大国の大門を開く」という目標を掲げた。今年は、その目標達成に向けた1年目という位置づけだ。

 最高人民会議は今年の経済部門の中心的な課題を、「人民経済の先行部門(電力、石炭、金属工業、鉄道運輸)、基礎工業部門を盛り立て経済強国建設の進撃路を開き、人民経済の技術改造を引き続き力強く推し進める一方、人民生活第1主義の原則に基づいて食糧問題、消費物資の問題を決定的に解決し、人民生活において実質的な改善をもたらすこと」だと規定した。

 とくに先行部門と基礎工業部門については、「社会主義経済建設の生命線」と強調し、国のすべての人的・物的資源をこれらの部門の発展に集中させる方針だ。

 人民生活を向上させる問題にも力を注ぐ。金総理は、「人民生活第1主義の堅持は建国60周年を迎える今年、内閣に提起された重大な課題」だとし、とくに食糧問題の解決に重点を置く方針を示した。具体的に多く言及されたのは農業と軽工業部門だ。

 農業に関しては、稲、トウモロコシの多収穫品種の全面的な導入、先進的な営農技術の普及および一般化、外部の労力支援を受けない自力での農作などの課題を提示した。畜産、養殖にも力を入れる。軽工業部門では、良質の消費物資を大々的に生産し、新しい生産拠点を築く活動を引き続き推し進めることになる。

 一方、対外経済部門においては、「自国の資源と技術に依拠した2次、3次加工品の輸出拡大と貿易の多様化、多角化」に重点を置く。

 ほかにも、保健・医療、都市建設、文化・芸術、スポーツなど各部門における課題が提示された。

 Q 今会議では新しい国家科学技術発展5カ年計画が発表されたが。

 A 計画の遂行期間は今年から2012年まで。金総理は同計画を通じて解決すべき問題について、「経済の先行部門を盛り立て人民生活における問題を決定的に解決し、先端科学技術の確固とした土台を築き経済の重要部門を現代化する」ことだと指摘した。同部門に対する国家投資の増大、科学者、技術者の役割強化などを通じて5カ年計画の課題を遂行することで、「科学技術を最短期間のうちに発展した水準に引き上げる」というものだ。当面の目標として、「経済の各部門で初年の課題を確実に遂行し、工場、企業所で科学技術に基づく生産システムを確立する一方、情報産業の発展に国家的な力を入れる」ことを挙げた。

 朝鮮は近年、科学技術の発展に国家的な力を入れている。昨年までの5カ年計画を総括し2012年までの新たな計画を打ち出したことから、先進的な科学技術に基づく経済発展を本格的に推進しようとする意図がうかがえる。

 Q 昨年の国家予算の決算は?

 A 国家歳入は計画を0.2%超過し、前年比6.1%増。地方予算の収入は計画を0.9%超過した。

 一方、歳出は、水害復旧資金をはじめ予想外の莫大な資金が追加された結果、計画を1.7%超過し「赤字」だった。農業部門に対する支出は前年比8.5%増で、軽工業部門に対する支出も大幅増だった。国防費には歳出総額の15.7%があてられた。

 Q 今年の予算編成の特徴は?

 A 予算について報告を行なった盧斗哲副総理は今年の予算について、「人民経済の各部門、各単位であらゆる予備と可能性を残らず動員、利用して歳入を最大限増やし、非生産的歳出を極力減らす原則」に基づいて編成したと述べた。

 報告によると、今年の歳入は昨年比で4%増加する。国家企業の利益収入は4.7%、協同団体の利益収入は0.4%、固定資産減価償却金の収入は2.6%、不動産使用料の収入は3.1%、社会保険料の収入は1.1%増える見込みだ(数字はいずれも昨年比)。

 歳出も昨年比で2.5%増える。中でも注目されるのが、経済の4先行部門に対する支出だ。同部門に対する支出は昨年比で49.8%増となる予定。経済強国建設に向けて同部門に国の人的・物的資源を集中させるという今年の課題が予算の編成にも反映されている。他の部門に対する支出は農業部門が5.5%、科学技術部門が6.1%それぞれ増加する。

 国防費の支出も例年の水準を維持する見込み。総額の15.8%があてられる。

 また、在日同胞子女に対する教育援助費と奨学金の拠出も予算に含まれた。(李相英記者)

[朝鮮新報 2008.4.18]