〈月間平壌レポート -08年3月-〉 卒業シーズンから新学期へ |
日頃の感謝、確かめ合う光景も 【平壌発=鄭尚丘記者】早朝、大地が含んだ水分が大気に戻る−。大同江に霧がかかると、前日よりも暖かくなる前兆だそうだ。「今日は暖かくなりそうだ」が朝のあいさつになる。 平壌は6日に降った雪を節目に気温が上り、例年よりも暖かい日々が続いている。世界が注目する中、ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏会も成功裏に終わり、興奮のさめやらぬまま、確かな春の訪れを感じさせながら3月が始まった。 花束は教員に
2月と4月の「民族的慶事」に挟まれた3月は、どこか印象の薄い月といった感じだが、ここ平壌に住む夫婦にとっては「3.8国際女性デー」があり、日頃の感謝の気持ちを確かめ合う大事な週末(8日は土曜日だった)となったようだ。 「妻と子どものために、生まれて初めて親子丼を作った。妻はおいしいと言いながら食べてくれたが、子どもにまずいと言われた。子どもは正直だからなぁ…失敗しちゃったよ」と、肩を落とすある男性の姿に平和な家庭の一片を垣間見た。 3月は卒業の季節である。朝鮮でも各地の学校で卒業式が行われた。 取材で訪れたある中学校では、卒業証書を受け取った後、成績表を堂々と見直す生徒、危険物でも扱うようにおそるおそる開き見入る生徒、太陽に透かしてみる生徒など反応はさまざま。互いに見せ合う生徒もいた。しかし、彼らの表情は明るい。「涙の瞬間」は最後に校門を出るときだけ、それがここでの卒業風景だ。 後輩から卒業生へ、卒業生から担任の教員へ花束が送られ、各自記念撮影に勤しむ。40代後半のある教員は、自分たちの時代はもっと簡素だったと羨ましそうに話した。 2008年度の小学3年生から英語、コンピュータ教育が実施される。平壌第1中学校で5年間行ったテストの結果、小学3年生の段階から十分に理解を深め、授業を行えるという結論に至ったという。 これまでは中学校からだったが、それを2年前倒しし英語、コンピュータに触れさせることによる専門知識の向上、知能開発に期待がかかる。とくに大学関係者は、将来的に平均値の上昇によって高水準の授業を行うことができるようになり、多くの優秀な技術者、科学者を輩出できると展望している。 月末から大マスゲーム・芸術公演「アリラン」の練習が始動した。「アリラン」の練習開始とともに新しい学校生活が始まろうとしている。 「太陽節」に向けて 金日成主席の生誕を祝う4月の「太陽節」に向けて、大同江ビール工場では「大同江黒ビール」の生産に力を入れている。 「大同江黒ビール」は、大同江ビールの姉妹品と言えるが、流通量は少なく「レア」な存在になっている。国民的な祝日に際してのみ生産されてきたからだ。昨年は1回に留まったが、今年は2回の生産が予定されている。 大同江ビールは2002年の登場以来、市民たちに愛され続けてきた。別名「『アツい』ビール」だ。 大同江ビール登場の舞台裏には、市民たちに上質で世界に通じるビールを飲ませたいという金正日総書記の愛情秘話があった。そんな思いが込められた大同江ビールを、市民たちは「胸を『アツく』して飲むべし」と、飲み干すのだ。 同工場では、市民の好評にあぐらをかくことなく、品質向上に努めてきた。世界の有名ビールと比較、分析し、より市民に愛されるビール作りに励んでいる。鮮度を保つために24時間体制での生産ラインを確保し、随時出荷しながら消費者に提供している。 平壌ホテルには週2回、この生ビールが届く。だから、宿泊客らにとってこの二日の夕方が一番「『アツい』時間」になる。 [朝鮮新報 2008.3.26] |