〈今月の金正日総書記−1月−〉 「江界精神」10周年 注目される慈江道現地指導 |
年明けから金正日総書記の精力的な活動が伝えられている。1月は礼成江発電所(黄海北道)の建設現場を視察した後、慈江道内の経済施設を連日、現地で指導するなど経済分野の活動が目立った。一方、外交分野でも、中国共産党中央委員会の王家瑞・対外連絡部長一行との会見(30日)が報じられた。 2012年見越して 総書記が1月に指導した経済部門の対象は8カ所にのぼる。これは1月の数字としては過去5年間で最も多い。昨年1年間に訪れた経済部門の対象が30カ所だったことを考えると、1月だけで昨年の4分の1以上にあたる数の視察をこなしたことになる。国の主要課題である経済の復興に向けた意気込みがうかがえる。 総書記の1月の活動におけるハイライトといえば、やはり慈江道の経済部門に対する一連の現地指導だろう。江界養鶏場と江界養豚場に対する視察(25日発朝鮮中央通信)を皮切りに、長江郡内のキノコ工場、食料工場、ウサギ種畜工場(26日)と3月5日青年鉱山(29日)を相次いで訪れた。
慈江道に対する総書記の現地指導は何度も行われたが、その意義がとくにクローズアップされているのは1998年1月の現地指導だ。 総書記は当時、「苦難の行軍」と呼ばれた経済的困難の時期に雪の吹きすさぶ慈江道を訪れ、道庁所在地である江界市を中心に経済部門に対する指導を行った。これを機に慈江道は中小規模水力発電所の建設を積極的に推し進め電力問題を解決するなど、難局打開へ向けた経済再建事業をリードした。慈江道の取り組みは「江界精神」と呼ばれ賞賛された。その後、「江界精神」が経済再建のモデルケースとして全国に広まり、「苦難の行軍」を克服する原動力となったことは周知の事実だ。 国内メディアは総書記の慈江道現地指導10周年に大きな意義を付与し、「江界精神」を再び強調している。 今回、10周年という節目の年に、総書記が江界市をはじめとする慈江道各地を訪れたことは、単なる経済視察を超えた重要な意味合いを持つものとして受け止められた。 今年の3紙共同社説は、経済と人民生活を高い水準に押し上げることで、金日成主席生誕100周年を迎える2012年に「強盛大国の大門を開く」という構想を打ち出した。 「2012年構想」との関連でいえば、今回の慈江道現地指導は「強盛大国」の建設に向けて世界のすう勢を見すえながら、自力更生の原則を堅持するという経済復興の方法論を示したものとして理解することができるだろう。同時に、これらの目標達成のために人びとを奮い立たせるうえでも、重要な意義を持つものだ。 6者進展の立場強調 外交分野を見ると、1月30日、金正日総書記は中国共産党中央委員会の王家瑞・対外連絡部長と会見を行った。6者会談合意履行プロセスが遅れている中で行われたとあって、大きな注目を集めた。 中国国営の新華社通信によると、総書記は王部長との会見の席で、経済を発展させ人民生活を向上させることが朝鮮の当面の最重要課題だと指摘し、朝鮮側は中国側との交流が今後も深まることを望んでいると述べた。 王部長も総書記に胡錦涛主席のメッセージを伝え、朝鮮側との伝統的な友好関係を新たな段階へと押し上げようとする中国側の立場を表明した。 会見の席上では、朝鮮半島核問題など双方の関心事となる一連の国際問題も話し合われたことが伝えられている。 新華社通信によると、総書記は6者会談のプロセスを進展させていくとする朝鮮側の立場を今一度強調した。さらには、現在の厳しい状況は一時的なもので充分に克服可能であり、会談参加各国は「行動対行動」の原則にしたがって自らの義務を誠実に履行し、対話を通じた問題解決を目指さなければならないと述べた。 近年、朝中間の親善協力関係が発展する中で、首脳級をはじめ両国の党、政府高官の相互訪問が活発に行われている。昨年は中国側から楊潔箎外相(7月)、共産党書記処の劉雲山書記(10月)が訪朝した。総書記は両者とそれぞれ会見し、朝中関係や6者会談など内外の関心事について幅広く話し合った。 今後も、両国間の高位級往来は続く。 朝鮮の朴宜春外相が、昨年5月の外相就任以来初めて中国を公式訪問することが伝えられている。1月14日、駐朝中国大使館のウェブサイトに掲載された劉暁明大使の新年演説文を通じて明らかになった。劉大使は昨年12月24日、朝鮮外務省関係者を招いた宴席での演説で、中朝外務省間の交流と協力の現状を評価し、「われわれは来年(2008年)の朴宜春外相の中国公式訪問を熱烈に歓迎し、円満な成果を収めることを心から願う」と述べている。(李相英記者) [朝鮮新報 2008.2.15] |