〈月間平壌レポート -08年1月-〉 人民生活向上、あふれる自信 |
軽工業部門への国家投資が増加 【平壌発=呉陽希記者】近年、朝鮮では旧正月を盛大に祝う。今年は陽暦の2月7日だ。平壌の元旦は静かに過ぎていったが、それは表面上のことにすぎない。新年の3紙共同社説が発表され、人々はそれぞれの目標を達成する熱意にあふれていた。 2012年に向けて 共同社説は、金日成主席生誕100周年を迎える2012年に「強盛大国建設」の確固たる展望を開くと宣言、経済復興に向けた今年の重要性を強調した。 「共和国創建60周年」「人民生活第一主義」「科学技術重視」−新年を迎え市内のいたるところに今年の3紙共同社説の内容を反映したスローガンが掲げられた。 「今年の正月は市街地の装飾が例年より簡素だ」−平壌支局現地スタッフの感想だ。 今世紀に入り、朝鮮では陽暦の正月よりも旧正月を盛大に祝う国家的措置が講じられている。 スタッフは、毎年恒例の学生少年による迎春公演がなかったことも理由のひとつにあげた。元旦に行われた迎春公演も昨年から旧正月に際して行われている。 家庭での過ごし方は通年どおりだったという。支局スタッフの家庭では元旦の朝、金日成主席の銅像へあいさつに行き、家族・親せきで集まり年長者に新年のあいさつをしたあと、トック(朝鮮風雑煮)など正月料理を食べたという。そして、午前9時からはテレビで放送される新年の3紙共同社説を視聴した。毎年、繰り返される「元旦の過ごし方」だという。 「より高い目標を」
3紙共同社説は「人民生活第一主義」のスローガンを掲げた。人民が生活の中で実感できる経済復興を目指すということだ。 1月3日、平壌市内の工場、企業所、農場はいっせいに仕事開きをした。 万景台区域にあるチルゴル農場では3、4、5の3日間で今年の肥料運搬の40%を達成したという。「人民たちの食べる問題を必ず解決するという農場員たちの熱意の表れだ」と同農場のチョ・イルスン管理委員長(53)は話す。委員長によると今年、農場独自の生産目標は、国家指標より高く設定したという。穀物125%、野菜150%、畜産200%である。 一方、軽工業部門でも生産拡大に確かな自信を見せている。 平壌靴工場のリ・ドンチャン支配人(58)によると、軽工業部門への国家投資が昨年度から引き続き増加している。同工場に対しては2006年度から2007年度にかけてその額が2倍、2007年度から今年にかけては1.5倍増えた。 工場が掲げた今年の目標は、製品数を増やし、その品質を向上させることだ。男女夏用サンダルと女性用のブーツを中心に50種ほど新モデルを発表する。生産量は100万足増加だ。「原料はすでに確保している。より多くの靴を購入する人が増えている。デザインも多様化した。生活が豊かになった証拠のひとつだ」と支配人は語る。 「江界精神」から10年 1月15日、労働新聞は2面に「勝利の黎明を昇らせた暴風の雪−先軍朝鮮の不屈の信念 江界精神がもたらした飛躍の10年をうたう−」と題する長文の記事を掲載した。 新聞、テレビなどのメディアはいっせいに「苦難の行軍」と呼ばれた1990年代後半の経済的試練の時期、慈江道の人々が食糧難、電力不足など生活のさまざまな問題を自力で解決していった当時のエピソードを振り返った。江界市は慈江道の中心都市。「江界精神」とは慈江道の人々が築いたこのような自力更生の努力と成果について称するもので、当時、慈江道を現地指導した総書記によって命名された。 朝鮮中央テレビが1月中旬に現在の慈江道について紹介した番組の中で、ある男性労働者が当時を振り返り、「仕事で成果をあげた報酬として特別供給された食料を家に持って帰ろうとしたが、みなが空腹にあえいでいたあの時期、自分だけ腹を満たして何になるのかと同僚と少しずつ分け合って食べたのが昨日のようだ」と語っていたのが印象的だった。 「江界精神」が叫ばれた「あの時」から10年。経済復興は確実に進んでいる。自力更生は、すべての人々のスローガンだ。新年の目標達成の自信について平壌小麦粉工場のロ・ウォンチョル技師長(44)は、「10年前は原料不足のため国際機構の援助と支援に頼るしかなかったが、今では100%の生産を自力で行っている。今年の生産展望は明るい」と話した。 [朝鮮新報 2008.1.25] |