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中国・瀋陽、吉林の同胞を訪ねて 「朝鮮の海外公民としての誇り」

組織の運動で「祖国愛」実践

 【瀋陽発=呉陽希記者】2007年−2008年をまたぐ一週間、在中同胞について取材するため中国・瀋陽と吉林を訪れた。中国に住む朝鮮民主主義人民共和国の海外公民は約1万人。とくに遼寧省、吉林省、黒竜江省の東北三省に多く住む。彼らは、東京−平壌−瀋陽と慌しく国境をまたいで現れた在日3世の記者を温かく迎え入れてくれた。

「主席に新年のあいさつ」

大晦日、吉林市内の朝鮮食堂で祝杯をあげる公民たち

 瀋陽に本部を置く在中朝鮮人総連合会(在中総連)の楊永東議長(72)は、「現在、中国で『朝鮮民族』は3つに分類される」と話す。中国国籍所有者、朝鮮国籍所有者、そして近年、南朝鮮から移ってきた人たちだ。

 中国籍所有者は、多民族国家である中国の一員として「朝鮮族」と呼ばれ、朝鮮籍所有者は、朝鮮の海外公民であるため「朝僑」と呼ばれている。

 中国では1949年10月1日の建国前から中国にいた朝鮮民族には中国籍を与え、それ以降に中国に渡ってきた者はそのまま朝鮮籍所有者とした。

 現在、中国に住む朝鮮籍所有者は自らを「(朝鮮)公民」と呼び合う(「同胞」という単語は中国において幅広い意味を持つため)。

 在中総連は、中国各地に7つの地区協会と61の支部がある。

 昨年の大晦日、在中総連本部の関係者たちは吉林に向かった。吉林には金日成主席が学んだ「吉林毓文中学校」があり、そこに主席の銅像がある。吉林訪問は「主席に新年のあいさつをする」のが目的だ。本部がある瀋陽から列車で往復10時間の旅に記者も同行した。

瀋陽にある在中総連本部会館

 「2008年には、『3重模範支部』になって皆で祖国を訪問しよう」

 一行が到着した日、吉林在住の公民たちは朝鮮の企業が運営する「ウンバンウル食堂」で祝杯を挙げた。

 吉林は金日成主席が1927年1月から1930年夏まで活動した地域である。公民は「栄光の地で暮らす誇り」について語る。彼らは在中総連が行っている「模範支部運動」にも積極的に参加している。すでに「二重模範支部」の表彰を受けている。

 在中総連は、公民と祖国とのつながりを深め、彼らの生活上の便宜を図っている。1991年に結成された祖国統一汎民族連合(汎民連)在中朝鮮人本部を母体にその翌年、こんにちの名で活動を開始した。

 楊議長は在中総連の活動について、「公民の連携と団結をはかり、祖国統一と祖国の強盛大国建設に貢献し、朝中親善を強化するうえで役割を果たすこと」だと説明する。

 中国の朝鮮公民は1950年代、朝鮮半島における戦禍を逃れ中国に渡ってきた人々を1世とし、その代は現在3世まで続いている。

 彼らの生活は「朝中親善関係」によって多くの面で保障されているという。「民族差別や迫害などは、憂慮する余地もない」と在中総連の活動家は話す。公民らは実際にそのような状況について「温かい家」だと表現する。彼らには「永久居留証」が与えられている。

 現在、在中公民社会にも世代交替の波が押し寄せているが、楊議長は「われわれは、常に祖国と共に歩んできた。次の世代が朝鮮の海外公民としての誇りをもって活動していけるよう、環境づくりに努力している」と語った。

[朝鮮新報 2008.1.15]