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〈虫よもやま話-8-〉 外来種

 「え〜〜! ギラファノコギリクワガタは採れないんですか〜…」−私がまだ朝大で生活をしていた頃、カブトムシ採りに連れていった幼い子がこう不満を漏らしました。

 その頃、日本は空前の「ムシキング」(カードゲーム)ブームで、多くの外来種カブト&クワガタの輸入が法的に許可され販売が活発化されていた時期でした。

大人気の外来種のクワガタムシ

 私の研究室では、10年前から夏休みには欠かさず学生たちの手で昆虫展を開いているのですが、その場でも一番人気は外来種のカブト&クワガタの展示コーナーです。子どもたちにとっては、もはやヒーロー的な存在になっています。「外来種は大きくてかっこいい!」−この時期を境に、子どもたちの中ではこのような風潮が急激に高まっていくようです。

 今回はその外来種を取り巻く問題について少しお話したいと思います。近年では、お金さえあれば容易に入手できるようになった外来種の昆虫類。趣味で飼っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 しかし、現在では飼育過程で逃亡した個体や飼いきれず逃がした(捨てた)個体らによって、在来種の昆虫たちの生活が脅かされています。外来種との交雑による雑種の誕生や、外来種に付着してきたダニによる被害が報告されているのです。数年前には小笠原諸島のある島で、コーカサスオオカブトが発見されたのですから驚きです。

 また、東南アジアや南米地域では、農作業で得ることのできる年収よりも、体長数aオーバーの1匹のカブト&クワガタがより高値で取引されるため、田畑を捨てて採集を本業とする人たちが増えています。その結果、伝統的農業の崩壊や部族内紛争など深刻な問題が発生しているのです。国外のこのような状況はあまり知られていませんが、外来種の購入に際しては、正しい知識と何よりも飼い主としての大きな責任が必要であることを忘れないでください。

 数年前、子どもの頃に憧れていた外来種のカブトムシが、スーパーで980円という値で売られているのを目にし、大変ショックでした。気候や風土の違うこの地では、十分な飼育環境さえ与えることは困難でしょう。

 まずは生き物の立場に立ってしっかりと考えてみること。この機会にあらためて強調しておきます。(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2008.8.29]