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〈虫よもやま話-5-〉 採る

 「起きろ! 晩飯釣ってこい!」

 初級部の頃、休日になるとアボジに蹴り起こされ、毎週のように近くの海へ釣りに行かされました。昼の弁当とエサ代を片手に、毎週のように釣り場へ通った日々があまりにも懐かしく思えます。

朝大で見つけてたアカスジキンカメムシ

 オモニが作った「ゲーム禁止令」で厳しく執り締まられた家庭だったので、スーパーファミコンの登場を同世代と共に歓喜することもなく、私の武器は釣竿か捕虫網、そして対戦相手は生き物で、戦場は常に「自然」でした。

 そのためか、図鑑で眺めていた魚や昆虫をやっとの思いで捕まえた時の勝利の快感を今でも忘れることができず、なおエスカレートするばかりです。

 虫採りの主な動作には「すくう」「叩き落とす」「ふるう」などがあります。この動作中に意識することは、「ほとんどの昆虫類は小さく、常に身を隠している」ということです。多くの昆虫類が天敵から身を守るために、自然物に形や色を似せて生活していることは有名です。これを「擬態」といいます。

 そのため、一般的に用いられる「見つけて採る」という方法はあまりお勧めできません。もちろん、チョウやトンボなどでは有効ですが、網で花や草をすくったり、枝や枯れ木を力いっぱい叩いてみると、普段は目につかない多くの昆虫類を採集することができるでしょう。

 叩く場合は、開いた傘を逆さにして落ちてくる虫を捕まえたり、落ち葉やコケなどを食器バスケットに入れてふるってみるのもお勧めです。キノコや獣糞、遺骸などは彼らの「最高のご馳走」なのでお見逃しなく! 「ムシクソハムシ」という、小さな虫の糞に擬態する昆虫もいるくらいなので、目を普段よりもズームに切り替えてしっかりと探してみてください。

 …。

 丸一日釣りをしても「坊主(=釣果のないこと)」の日は必ずありました。そんな時、アボジに「あっち(魚)は命懸けやから、しょうがない!」と言われ、仕掛けの作り方や釣り方のいろはを教わりました。そして、大物が釣れた時には自分のことのように喜んで魚拓を作ってくれたその思い出が、今の私のかけがえのない財産となっています。

 さぁ〜、アボジたちの出番、腕の見せどころのシーズンがやってきましたね。(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2008.5.16]