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〈虫よもやま話-4-〉 自然の中で遊ぶ

 「う〜ん…DSが欲しい!」

 昨年末、サンタさんに何をもらいたいかと寮の生徒に尋ねたところ、こう答えが返ってきました。

 「DS? 何それ?」と聞き返した私に、生徒は驚きを隠せなかったようです。詳しく尋ねてみると、ゲーム機の話でした。

「おケラちゃん、み〜つけた!」

 その後、忘年会の席で旧友に、「え!? 『動物の森』も知らんの〜!?」と言われました。詳しく尋ねてみると、そのDSのソフトのことで、森の中を散歩し、さまざまな動物たちとの出会いを楽しむという内容でした。

 そして、旧友は私に向かってこう尋ね返したのです。「今、おケラっていう虫を探してるねんけど、どこにいるかわかる?」。

 私はつい一喝してしまいました。「は? そいつはゲームソフトの中じゃなくて、土の中におるんや!!」。

 今回の話は「自然の中で遊ぼう!」です。

 近年、都市化が猛スピードで進む中で、自然の中で遊ぶ大切さがあらためて重要視されています。

 とくに脳を研究している分野では、次のようなことを考える研究者もいます。「都会の子と田舎の子では、これから脳の発達に差が出てくるのではないか?」。簡単に言うならば、「脳への刺激の差」に関する仮説です。

 コンクリートに覆われた都会環境と、山や川など自然に囲まれた田舎では、成長期に脳が受ける刺激の量や質が異なり、自然豊かな環境で複雑な地形や多様な生き物と直接触れ合い遊び育った子どもたちは、都会の子どもたちよりも脳がたくさん刺激され、発達するという内容です。これはあくまで仮説なのですが、私は一理あるのではと思わずにはいられません。

 すくすく育つ子どもたちには、TV画面と向き合いゲームコントローラーのA、Bボタン操作に熱中する休日を過ごすのではなく、友だちと一緒に自然の中で大いに遊んでほしいものです。

 虫たちはどこにでもいます。彼らは小さく、また嫌われ、見落とされがちですが、私は彼らほど「身近な自然」はないのではとつくづく思い知らされています。あの「おケラちゃん(コオロギの仲間ですよ!)」を探し当てた時の喜びや感動を、ぜひ多くの人に感じてほしいほしいものですね。

 やっと良い季節がやってきましたね。今年も生徒たちの手に引かれ、楽しい虫採りの始まりです。(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2008.4.25]