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西東京第2初級 入学式と入園式、新たに19人の児童、園児を迎えて

朝鮮学校の魅力に惹かれ

 かわいらしいチマ・チョゴリとパジ・チョゴリ、ピッカピカの園児服を着た新入生たちが、先生と保護者たちに手を引かれて花のアーチをくぐっている。西東京朝鮮第2初級学校(東京都町田市、李政愛校長) で5日、入学式および入園式が行われた。初級部に6人、幼稚班に7人が入学・入園、そして5人の編入生と1人の転入生、合わせて19人を迎えてのスタートである。

学校の「特典」

花のアーチをくぐって

 同校では近年、児童数の減少を抑えるために教職員たちと同胞たちが力を合わせて、保護者や児童たちを喜ばせるさまざまな「特典」を提供してきた。

 教育部門では教員たちの資質を高めることを最優先に、児童たちの朝鮮語の会話能力をより高めるため専門講師による指導を取り入れ、外国人講師による英会話の授業も行っている。

 また、特別課外授業として金剛山歌劇団の器楽部メンバーを招待して、子どもたちに民族楽器の音色を聞かせ、固有の民族的リズムに合わせてオッケチュム(肩踊り)の体験などにも取り組んできた。

 2004年からは共働きの保護者をサポートするため低学年の児童を対象に、「学童保育」も実施。昨年からは全校生の給食もスタートした。

 そればかりではない。学校美化活動においては長い間同校を守り、愛し続けて来た1世、2世のハラボジ(お爺さん)たちが中心となって、大掛かりな運動場の木の剪定を行ったほか、同胞業者の尽力により運動場を再整備して、幼稚班の教室をリフォームした。

 また、教員たちが中心になって3台の通学バスを運行、幼い子どもたちの通学の苦労をやわらげている。

 こうした努力が実を結んでか、入学式には同校卒業生である「新学父母」たちの姿も目立ち、遠方からハラボジ、ハルモニ(お婆さん)、ウェハラボジ(母方のお爺さん)、ウェハルモニ(母方のお婆さん)、親せきなどが、孫や甥(姪)たちの入学を祝いに駆けつけた。

保護者の声

転入生と編入生が紹介された

 幼稚班に入園した成愛奈ちゃんの母親、李明華さん(33)は、「私はこの学校の卒業生。ウリハッキョ(私たちの学校)が良いから、ためらうことなく入園を決めた。これからは毎朝7時半には家を出て幼稚班に行く生活が始まる。通学バスがあるので、何も心配ない」と話した。

 鄭京香さんを初級部に入学させた母親の李和美さん(33)は、「子どもに自分の国の言葉と文化、風習をしっかり身につけてもらいたくてこの学校を選んだ。これから先、日本の社会や国際社会で生きていくためにも、国や民族、在日の歴史について知ることは大切」。そう言いながら、一時は近くの日本の学校に通わせようかと悩んだこともあったと打ち明けた。「今は日本の学校に行かせている同胞も多いと思う。保育園で一緒に育ったお友だちと離れたくないと言って、娘も悩んだ。遠距離通学も悩みの種。交通が不便なので、当面は毎朝私が娘を学校まで自動車で送り届けることに。決めた以上は、子どもの成長を見守っていきたい」。

5人の編入生

 今年の入学式の特徴は、日本の学校からの編入生が多いことだ。先に紹介した同校の工夫と努力、積極的な対外活動の成果であると考えられる。

 昨春、中級部3年(今年から中級部は休校)に傳希良さんが編入し、弟の大聖くんが初級部に入学した。今年の編入生のうち2家族−松寛夏さん(初6)、松晃希くん(初2)と、林鶴さん(初5)、林将義くん(初3)は、傳希良さんの母親の誘いで学芸会を見たり、バザーに参加したのがきっかけとなり、編入につながった。

入学式の様子

 松寛夏、晃希さんの父親・野口達寅さん(45)は、「朝鮮学校の児童たちが朝鮮舞踊を踊っている姿を見て、娘がとても感動し『朝鮮学校に行って、舞踊を習いたい』と強く希望した。実は、私は今まで日本人として暮してきたが、最近になって母方の祖母が朝鮮人だったということがわかり、娘の希望には本当に驚いた。学校に何度か足を運んで、校風が気に入り、校長先生の教育への熱意に深く感銘を受けた。保護者たちの姿からも、日本の学校にはない良いところを感じている。私も朝鮮学校に愛着と郷愁を感じる」と語った。母親の和枝さん(48)は、「子どもたちが朝鮮の言葉と伝統を知って世界に羽ばたければ。今日から私たちも子どもたちと一緒に学んでいきたい」と話した。

 林鶴、将義くんの父親・知工泰三さん(38)は、「朝鮮学校では私が教えることのできない朝鮮の素晴らしい文化と伝統、言葉をよく学んでほしい。子どもたちは日本人の私と韓国人の母親の間に生まれた。子どもの自尊心を育てるためにとこの学校を紹介された。先生たちが子どもたちを愛し、子どもたちも先生に親しみをもって接している姿は、日本の学校では忘れられてしまった教育の原点でもある。子どもたちが朝鮮学校で学ぶことは、今後必ずプラスになると信じている」と語り、母親の林光淑さん(39)は「子どもたちと先生方が母国語で話し、学校の雰囲気もとても良い。夫と同じく、ここで学ばせることが子どもたちに本当に良い影響を与えるだろうと思っている。家から学校まで1時間ちょっとかかるので、遠距離通学という点では心配だが、野口さんの子どもたちと一緒に通うから大丈夫でしょう」と話した。

 一方、子どもたちは新たな希望と喜びで、はじけてしまいそうな笑顔を見せている。

 「朝鮮学校に入れて本当にうれしい。朝鮮の文化を学びたい。そして、はやく舞踊を習いたい」(松寛夏さん)

 「朝鮮語は少し話せるけど、友だちの前で間違えたら恥ずかしいというのが少し心配。私も舞踊を習ってみたい。通学は1時間くらいかかるけど、何度も練習したので大丈夫」(林鶴さん)

 キラキラ光る瞳で、たくさん学び、いろんな体験を積んでいってもらいたい。(文=金潤順、写真=文光善記者)

[朝鮮新報 2008.4.11]