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〈虫よもやま話-2-〉 出会い

 「ハンさん! 先輩から頂いた標本を調べたら新種がいましたよ!」

 昨年の末、同じ研究室の後輩から唐突にこのような知らせを受けました。

 もちろん、「マジで? やった〜〜!!」と大騒ぎし、ついに私もこの道2年にしてこの偉業を達成できたのかと感激しました。

 しかし、ここで読者の中には首を傾げられた方もいらっしゃるのでは? まさか、そんなに簡単に新種を発見できるものかと考えている方も多いのではないでしょうか?

枯れ木から出てきたヤマトタマムシ

 確かに哺乳類や爬虫類などでは新種を発見するのは難しいといわれています。

 しかし、昆虫類は例外です。

 これまでに人々が長い年月をかけて発見し命名してきた全動物は約132万種に及びます。その内、昆虫類はなんと96万種、全動物のおよそ73%を占めるのです!

 決して昆虫学者が大勢いたからこのような結果になったわけではありません。

 昆虫学者もこの件に関してはむしろお手上げ状態なのです。

 私たちの業界では、昆虫類は「少なく見積もっても」この地球上に2000万種は存在すると考えています。

 実際、日本国内では約130種、世界規模では2000種近くの新種が毎年各地で発見され報告されているのですから!

 ちなみに現在の日本国内における昆虫類の解明種は3万種弱ですが、10万種は生息すると見積もられています。

 ある有名な昆虫学者はこの事実を前にこのように表現しました。

 「もし宇宙人が存在するならば、地球は昆虫に支配された『昆虫の惑星』と呼ぶだろう」

 はたして人類が滅びるまでに全ての昆虫類を探し出せるのでしょうか?

 いいえ、私が生きている間にどれほど多くの昆虫たちと出会えるのでしょうか?

 事実、私も採集へ出かけると必ずと言っていいほど採集したことのない昆虫類と出会います。その多様さと向かい合うたび、私は喜びと感動、未来への希望やロマンを感じずにはいられません。

 今年はまたどのような出会いがあるのか楽しみです。

 もちろん昆虫たちだけではなく、多くの同胞たちとの出会いが何よりも楽しみです。(韓昌道、愛媛大学大学院修士課程)

[朝鮮新報 2008.2.15]