〈虫よもやま話-1-〉 自己紹介 |
「え? 建築の研究ですか??」 自己紹介をするとよくこう聞き返されます。 「コンチュン(昆虫)」の研究が「コンチュッ(建築)」に聞こえるようで、多くの人はまさか朝大を卒業して昆虫の研究をしているなどとは考えもつかないようです。 私は現在、道後温泉や小説「坊ちゃん」の舞台で有名な愛媛県松山市で昆虫の研究を行っている朝鮮大学校の研究院生で、このたび、月に一度、昆虫についての好きなお話ができる機会をいただきました。
さっそく第1回目、「自己紹介」を含めて話を進めます。 現在、私は四国朝鮮初中級学校の寮で生活しながら愛媛大学農学部に所属する環境昆虫学研究室に通っています。ここには約120万点以上の昆虫標本が所蔵されており、その中には学術的に欠かすことのできない大変貴重な標本も多数含まれています。日本各地の筋金入りの「虫屋」が集まるこの研究室では、「虫について学びたければフィールドへ出て行け!」を信条に、晴れた日にはみんなが「先生が飼育する虫カゴ」から飛び出し、捕虫網を片手に山へ出かける日々を送っています。 そんな「虫漬け」の生活ですが、ここで今回は簡単におさらいだけしましょう。 「虫」とはかなり曖昧な総称ですね。 昆虫がこれと区別されることは周知の通りです。 一般的に体が「頭部」「胸部」「腹部」にわかれ翅は4枚、肢を6本具えた節足動物を昆虫と呼んでいます。 しかし、これがなかなか厄介で多数の昆虫が人の考えたこの「規格」にピタッと当てはまってくれません。 万民に存在意義さえ疑問視されているハエを捕まえて確かめてみると一目瞭然。 翅は何枚でしたか? 昆虫の魅力の一つはなんと言ってもその多様さ! 果たして昆虫はどれくらいこの地球上に存在すると思いますか? その答えも含めて次回から本格的に話をしていきたいと思います。 「彼らの生活圏に住む私たち」という観点から、この生き物について一緒に考えてみましょう。(韓昌道、愛媛大学大学院修士課程) [朝鮮新報 2008.1.18] |