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〈現場ルポ〉 挑発行為繰り返したのは警察当局 在日本朝鮮商工連合会と東京都商工会を強制捜索

 警察当局は11月27日、「税理士法違反容疑」という口実のもと、在日本朝鮮商工連合会と東京都商工会に対する強制捜索を行った。警察当局は強制捜索を行う間、350人にもおよぶ機動隊を動員して朝鮮商工会館を封鎖。不当な政治弾圧に抗議するために駆けつけた活動家、同胞たちを挑発、弾圧した。



公安警察は武装警官を動員し、強制捜索を敢行した。

 断続的に強い雨が降りしきる中、強制捜索の知らせを聞いた同胞たちが続々と朝鮮商工会館前に集結した。その数は500をのぼった。偶然にもこの日早朝、上野にいたという近畿地方の同胞青年はいてもたってもいられず、気が付いたら同胞たちとともに抗議の声をあげていたという。「何てことをやってるんだ!」と自転車を投げ捨て、抗議の列に加わった同胞は、今朝、知らせを聞いて飛んできたという。

 朝鮮商工連合会および東京都商工会に対し公安警察は11月27日、朝鮮商工会館が面する表通りと裏通りを、警察車両と350人もの武装した警官を動員、封鎖し、強制捜索を敢行した。昭和通りにも警察車両を配置するなど徹底したものだった。

 会館に向かって右手側、警察の指揮車両付近で同胞たちは、「なんの罪があるんだ!」「裁判で証明されたように捏造ばかりじゃないか!」「警察によるテロ行為だ!」「不祥事ばかりの警察は即刻帰れ!」と警察の不当性を訴えながら抗議行動を行っていた。また、執拗にカメラを回す警察らに「我々は罪人ではない!」「権利の濫用をやめろ!」と強く訴える場面もあった。

 道路を挟んで正面の歩道では、同胞女性を中心に2つの横断幕を掲げた抗議団が激しくシュプレヒコールをあげ続けた。

 同胞たちの抗議の声に呼応するように、会館からは「不当な弾圧、即時中止しろ」などの垂れ幕が降ろされた。

 左手側では、とくに激しい接触があった。

強制捜索の知らせを聞いた同胞たちが続々と朝鮮商工会館前に集結した。

 「挑発行為をやめなさい!」と言ったのは警察ではない。むしろ同胞青年たちだった。

 指揮車両からは、「後方支援」「後方展開」などを指示。ときおり、「無駄な抵抗はやめろ」と言わんばかりに「おとなしくしなさい」、そして「公務執行妨害」を云々する声が聞こえた。

 最前列で警官らと対峙していた複数の青年らによると、見えないところで手を殴られ、足を蹴られ、頭突きをされるなど散々暴力を振るわれたという。実際に、警官の手が同胞の首元に伸びるのを確認した。警察官らはヘルメット、安全靴で頭から足の先まで完全に武装しているにもかかわらず、無防備の同胞らに対して暴力を振るい続けたのだった。また、警官らは終止「ニヤニヤと不適な笑みを浮かべてた」という。車をふかして排ガスをわざと出すなどのいやがらせもあった。

 封鎖された右手側から左手側までわずか数歩の距離しかない。そのわずかな空間に配置された数百人の警察官は、挑発、暴力行為を繰り返した。

 そして、午後1時頃。左手側で激しい押し合いが展開された。

 ちょうど鉄製のバリケードの切れ目にあたる位置で、同胞青年と警官らが直接もみ合うカタチに。押し合っていたのだが、突如として警官らは一人の同胞青年に目をつけ、彼を引っ張り始めたのだ。連れ去さられまいと、同胞たちはその青年に手を差し伸べたのだが、時を同じくして後方からも武装した警官がやってきた。挟み討ちのかっこう。混乱の中、同胞青年は連れ去られ、暴行を受けた挙句、「公務執行妨害」で逮捕された。

 間違いなく同胞たちは、そのような口実にならないように、両手を上げたまま、正々堂々と声高に不当性を訴えていただけだった。彼もまた多くの同胞が口を揃えるように、逮捕されるようなことはなにもしていない。

 シュプレヒコールは一段と激しさを増した。

 「同胞青年を返せ!」

 「不当な弾圧をやめろ!」

 さらに雨は強くなったが、傘、レインコートを纏う者はわずか、ほとんどの同胞は「在日朝鮮人に対する人権蹂躙行為反対」と書かれたゼッケンを付け、雨にさらされながも抗議行動を続けた。途中で帰るものはいなかった。

 同胞たちの震えは寒さや恐怖からくるものではなかった。吐息だけでなく、身体からも白いものがあがっていた。身体を濡らした雨が直ちに水蒸気となって上っていったのだ。

 この日、近隣のビルなどからは人々が頻繁に出てきては、怪訝な表情を浮かべながら、商工会館に目を向けていた。駅ビルの上層階、窓越しに会館を覗き込む人も同様の表情であった。

 当局の狙いはまさにここにある。「暴力団体」「危険因子」という印象を与えることによって商工会ならびに在日同胞が築いてきた信頼を崩壊させ、社会から排除しようというのだ。

 当局の「都合」に追従するように、事前に情報をリークされていた日本のメディアは「迷惑だ」「ゾッとする」といった「市民の声」を掲載した。

 2時40分頃、ごくわずかな押収物を「土産」に政治ショーに幕をおろし、公安警察は一斉に撤収していった。

 まさに不当な政治弾圧。これが民主主義国家日本の「素顔」なのだ。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2008.11.29]