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下関市教育長の妄言問題 山口で集会、民族教育権獲得へ幅広い運動を

在日同胞、各界の日本市民ら正式謝罪求める

 山口県下関市の嶋倉剛教育長が日本の朝鮮植民地支配を正当化する妄言を繰り返した問題で、嶋倉教育長は9日、下関市議会の関谷博議長あてに書面を提出。「『日朝平壌宣言』の詳しい内容までは認識が不足していたまま発言してしまった」「今回のことでは大変迷惑をおかけした」と謝罪の意思を表明した。県下の在日同胞と各階層の日本市民は、嶋倉教育長に対し、発言の撤回と謝罪を求めて連日、抗議を行ってきた。

勝ち取った勝利

120余人が参加した集会

 対策委員会委員長の金鍾九・山口朝鮮学園理事長は同日、山口朝鮮初中級学校で行われた記者会見で、市議会の副議長から教育長が在日朝鮮人と多くの市民に迷惑をかけたと口頭で述べたと聞いたと報告。「今後も補助金の増額など、朝鮮学校の全般的な教育権を獲得するために幅広い運動を展開していきたい」と語った。

 会見後、下関市教育長妄言の撤回、謝罪を求める山口同胞抗議行動報告集会が同校で開かれ、約120人の県下同胞と日本市民らが参加した。

 経過報告した金委員長はこの間、下関地域はもちろん、宇部小野田地域と周陽地域の1世から4世までの同胞ら約300人が連日、抗議行動を行い、民主、共産、社民の地方議員団、さまざまな市民団体、各界の有志らが声明や行動で抗議し、日本各地から下関市役所に発言撤回を求める声が多数寄せられたと紹介。「こうした事実は、私たちの主張の正しさを如実に語るものだ」と強調した。

 また、それまで「会う意思はない」「謝罪する意思もない」などと面談を拒否してきた江島潔市長が、3日には「教育長に発言を慎重に行うよう指導している」と述べ、嶋倉教育長が8日に行われた教育委員会定例会議で「『平壌宣言』に対する認識が不足していた。政府見解を尊重する」と述べるなど「若干の変化を見せた」のは、そのように発言せざるをえない状況に追い込まれていることの証左だと指摘。教育長が今回書面を提出したのは同胞たちがたたかいによって勝ち取ったものだと述べ、正式な謝罪も含め、民族教育の全般的な権利獲得のために力を合わせてたたかっていこうと呼びかけた。

日本自身の問題

正式謝罪までたたかっていこうとシュプレヒコールをあげる参加者ら

 集会では、民主党山口県総支部連合会の加藤寿彦副代表、全日本自治団体労働組合山口県本部の岡本博之執行委員長、日朝友好連帯の会責任者の中室泰治氏らが連帯のあいさつを行った。

 三氏は、「歴史をわい曲するような教育長の妄言に強い憤りを覚える。在日朝鮮人や私たちの正しい主張を数でつぶそうとする勢力に負けてはならない。この問題は、在日朝鮮人の問題ではなく、日本人の問題だ」「在日の人たちが感じている今回の妄言に対する怒りを思うと胸が痛い。正しい歴史認識がなければ本当の未来はない。これからも手を携えてがんばっていこう」などと教育長の妄言を強く非難した。

 続いて、社会民主党山口県連合や日本共産党下関市議団などから送られてきた連帯メッセージが紹介され、対策委員会の韓朝男副委員長、金耐豪委員、女性同盟下関支部の趙真珠副委員長らが討論。過去の植民地支配を否定することは現在の同胞社会を否定すること、ひいては将来も子どもたちを差別することにつながると指摘しながら、在日同胞の権利はすべてたたかいによって勝ち取ってきたものであり、今後も教育長が正式に謝罪するようたたかっていこうと呼びかけた。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2008.7.11]