京都同胞高齢者年金訴訟控訴審 大阪高裁 またも不当判決 |
差別を合憲と判断
京都府在住の70〜90代の在日同胞高齢者5人が、外国籍を理由に国民年金制度から除外され何ら救済措置もとられず無年金のまま放置され、長い間精神的苦痛を受けたとして日本に損害賠償を求めた訴訟(2004年12月提訴)の控訴審判決で、大阪高等裁判所は4月25日、「国の裁量権の範囲内で違憲ではない」などとして原告側の控訴を棄却した。傍聴席からは「不当判決だ」と声が挙がった。 原告の一人、玄順任さん(82)は、1分もかからなかった判決言い渡しを受け、「あっけなくて何が何だかさっぱりわからない。裁判官にきちんと理由を述べてほしい」としながら、「都合の良い時は日本人として扱い、都合が悪くなると朝鮮人だからと差別する」日本政府の対応、大阪高裁の不当判決を批判した。 原告側弁護団の伊山正和弁護士は記者会見で、「社会に広がっている誤解を解きたい」とし、@国民年金なので外国人には適用されない、A保険料を納めていないから支払われないという誤った理解が社会に広がっていることに懸念を表した。 @については、国籍条項が撤廃され外国人についても加入・保険料納付が義務化された。Aについては、年金受給に必要な25年の納付期間を満たせない者について、日本人にのみ経過措置がとられた結果、一部の在日外国人高齢者、障がい者が無年金状態に陥った。 今回の判決では国際人権規約に関する裁判所の誤った解釈も浮き彫りになった。 京都の同胞障がい者、大阪の同胞高齢者の訴訟は、国の裁量権を幅広く認め、不支給を合憲と判断した地裁、高裁の不当な判決が最高裁で確定している。 原告側は上告を検討しており、支援者らは今後、国連などを通じ国際社会に日本政府の不当な差別を訴えていくという。(泰) [朝鮮新報 2008.4.29] |