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「万景峰92」号入港に協力を 在日同胞代表ら 参議院議長に要請

 「万景峰92」号による祖国訪問を求める在日朝鮮人の代表ら12人が26日、日本の参議院議長公邸で江田五月議長と面会し、人道主義に基づいて「万景峰92」号の入港を認めるよう日本政府に働きかけてほしいと要請した。在日朝鮮人の代表が参議院議長と公式に面会するのは初めて。

家族が待っている

 要請団は総連中央国際統一局の徐忠彦局長、東京都内に住む高齢同胞3人、東京朝鮮中高級学校と神奈川朝鮮中高級学校の生徒と教員の代表、東京朝鮮学校オモニ会連絡会代表らで構成。席上、左升宇さん(79、東京都文京区在住)が江田議長に「万景峰92」号の入港を認め在日朝鮮人の再入国許可に対する差別的規制を中止するよう日本政府に働きかけることを求める要請書を手渡した。

 体が不自由なため、車椅子でかけつけた朴炳璇さん(81、東京都板橋区在住)は、帰国して医者になった息子に「お父さんの病気を私が治してあげたいので、一日も早く祖国に来てほしい」と何度も言われ、結婚が決まった孫たちも訪問を待ち望んでいるが、2年もの間、「もう少し待ちなさい」としか言葉を返せずにいる無念さを涙ながらに訴え、「万景峰92」号の入港再開を強く求めた。

 「祖国で子どもたちと面会し、夫のお墓も訪ねたい」と述べた林秀香さん(78、東京都練馬区在住)は、在日朝鮮人が日帝植民地支配時期に日本に連行されてきた時代から、祖国が解放され60年以上が経過した今日に至るまで、ずっと差別と蔑視を受けてきたことを日本政府が知らないわけはないと指摘し、「『万景峰』号の運航は日本赤十字社を通じて人道的に決まったこと。入港が認められるよう協力してほしい」と訴えた。

 江田議長は、「在日のみなさんに不利益があってはいけない」とし、政府が正しい判断ができるよう国会での論議を深めなければいけないと述べた。

同胞生活に被害

 要請書によると、「万景峰92」号の入港禁止措置が実施された2006年7月以来、約1年9カ月もの間、この船を利用する以外に祖国を訪問する術のない高齢者、病弱者、身体障がい者をはじめ年間延べ2000人以上の在日同胞が朝鮮に住む肉親との再会や墓参りなどを断念せざるをえない状況が続いている。

 また、朝鮮学校生徒の修学旅行も飛行機便への変更を余儀なくされ、保護者の旅行費負担は5倍増え、この間の追加旅行費は総額1億5000万円(1681人分)に達した。

 6月に修学旅行を予定している東京中高高級部2年のある女生徒は、飛行機を利用すれば両親に大きな負担をかけることになると心配しながら、「『万景峰92』号に乗った瞬間に祖国を感じるようになる。その時の感動を学校の友だちみんなと共有したい」と語り、次のように強調した。

 「入港禁止措置で日本は何の利益も得られない。不当な制裁がまた延長されないように私たちも最後までたたかう」

 日本政府は「制裁」措置以降、朝鮮国籍所有者の「再入国許可」を特別な理由がない限り一回に制限しており、再入国許可証に「北朝鮮への渡航を自粛するよう要請します」と書かれたシールを強制的に貼り付けるなど在日朝鮮人の再入国を極めて差別的に扱っている。

 神奈川中高高級部2年のある男子生徒は、昨年12月末の訪問時、日本出国の際に入国管理局職員から「なぜ北朝鮮に行くのか?」と尋問されるかのように聞かれ、屈辱的な経験をしたと怒りを露わにし、「こんな嫌な思いを同級生たちには絶対に経験させたくない」と力強く語った。(取材班)

[朝鮮新報 2008.3.28]