〈論考A〉 オリンピックと統一コリア |
統一の相乗効果
4年に1度開かれるオリンピック、私たちにとってはこれまで、単に世界最大規模のスポーツ祭典というだけでなく、わが民族の統一の必然性を世界にアピールする格好の舞台でもあった。 南朝鮮における保守政権の誕生により、今回の北京オリンピックでは前政権と朝鮮との間で検討された、統一チームの構成や開幕式での合同入場は実現しなかった。残念でならない。 しかし、今大会での北南朝鮮選手の活躍は、全世界にわが民族の力と能力をアピールし、なおかつ統一コリアのポテンシャルを大きく誇示したのではないだろうか。 今大会のメダル獲得数を見ると、朝鮮が金2、銀1、銅3の計6個で第33位、南朝鮮が金13、銀10、銅8の計31個で堂々の7位だ。 これを単純に足してみるとわが民族のメダル獲得数は中国、米国、ロシア、イギリス、ドイツに続く世界第6位である。 また外国メディアによる興味を引いた分析のひとつが、各国のメダル獲得数をその国のGDP対比で換算したもの。それによると朝鮮が世界第1位で、次にジンバブエ、モンゴルと続くとのことだが、これは少ない投資で効率よくメダルを獲得した順位ということである。 もちろん諸手をあげて喜べる名誉ある順位ではないにしても、今後の経済発展の展望を勘案しスポーツに対する投資が拡充していくことを念頭におけば、競技スポーツにおける朝鮮のポテンシャルは計り知れないという事実を裏付ける分析にはなりうる。 「1+1〉2」 もともと統一というものは原理的に見ると「1+1=2」ではなく、「1+1〉2」ということ、つまり統一の相乗効果は単純な合算にとどまらず、3にも4にもなりうるのだ。 経済的に見ても、分断構造の中で支払われている軍事費をはじめとする分断費用はばく大であるが、半世紀において続けられてきたこの非生産的な投資を民族の発展のための生産的な投資へと転換し、なおかつ北南の互いの経済的長所を融合させるとすれば、その効果は格段といえよう。 ましてやスポーツにおいては、その効果は絶大であるといえる。 もちろん個人競技においてもその効果は大きいであろうが、とくに集団競技においては計り知れない相乗効果を生むのではないだろうか。 競技別におけるお互いのストロングポイントや、長い間蓄積されたコーチングや育成のコンセプトやノウハウなどが共有されれば、その発展は質的で飛躍的なものになるといわざるをえない。 次回のロンドンオリンピックではぜひ統一チームを成し遂げ、数倍にバージョンアップされたわが民族のパワーを全世界に誇示してほしいものである。 参考までに統一されたわが民族は国土が約22万q2に及び、人口は7千万を超え世界12位〜13位の大国となり、多極化が進む国際社会の趨勢の中で東北アジアの中心的国家として浮上する可能性を十分持ち合わせている。 統一されたわが祖国が政治大国、経済大国、スポーツ大国として目覚しい発展をとげる輝かしい未来がすぐそこにあると胸躍らせる今日この頃である。(崔勇海、朝鮮大学校政治経済学部准教授) [朝鮮新報 2008.10.6] |