〈論考@〉 外国人学校の制度的保障 |
二重の税差別、撤廃を 夏から9月中旬にかけて、日本各地で行われた外国人学校の処遇改善を求める署名運動に多くの日本市民が積極的に協力してくれたという。外国人学校の権利保障を求める声が着実に広がっていることを示すものだ。朝鮮学校を含む外国人学校の教育権利保障・獲得問題は、今まさに一つの正念場を迎えている。 日弁連勧告の意義 日本弁護士連合会は今年3月、朝鮮学校や中華学校など外国人学校に対する税制上の差別を撤廃することを日本政府に勧告。首相と関連省庁大臣あてに勧告書を提出した。 朝鮮学校など外国人学校の処遇問題を扱った日弁連の勧告としては、1992年の高体連加盟、98年の資格・教育助成に関するものがある。以降、朝鮮学校にインターハイなど全国大会への門戸が開かれ、条件付きではあるが日本の大学の受験資格が与えられるなど、処遇改善に結びついたことはよく知られている。 今回の勧告は、税制上の適用問題にメスを入れたこと、外国人学校全体を対象としているところに重要な意義がある。ゆえに日本社会でも重く受け止められ、同胞たちによる運動の高まりと日本市民の支持により、処遇改善は促進されていくだろう。 学校財政の両論 朝鮮学校などは公的補助が少ないがゆえに、運営のほとんどを保護者からの授業料や寄付に大きく頼らざるをえない。朝鮮学校への公的補助は公立学校の10分の1、私立学校の3分の1以下に留まっている。 しかし、朝鮮学校への寄付は、日本学校や一部のインターナショナルスクールへの寄付とは違って税制上の控除措置が適用されない。二重の意味で税差別を受けているのだ。 納税をアピールする日本当局の広報では「あなたの税金は教育費に使われます」などと言われている。在日同胞も日本人と同様、国税も地方税も納税している。にもかかわらず、それらが教育費補助(国庫補助や地方自治体補助)としてほとんど還元されていない。 こうした現状下、学校運営は授業料に加えて寄付に頼らざるをえない。が、税制上の差別によって寄付は集めにくい。 こうしてみてくると、日本政府は外国人学校に子どもを通わせることを制度的に阻み、学校財政の両輪をそろえられないようにしているとの批判は免れない。 強調されるべきは、同じ外国籍の子どもでも日本の学校に通えば同等の教育補助がなされるという事実である。 問題の本質が、日本当局のスタンスにあることは明らかだ。朝鮮学校で学ぶ子どもたちと、その親の教育への権利を人権として認め、保障するのか否かが問われている。 日本の人権問題 日本各地の外国人学校による「多文化共生教育フォーラム」が2005年から毎年開かれてきた。今年も11月に大阪で開かれる。目標は、外国人学校に対する教育条件の制度的保障を実現させることである。 国連の社会権規約委員会は01年8月、日本政府への最終見解で「(外国人)学校が補助金その他の財政的援助を受けられるように」することを勧告した。 国際社会が注視するなか、外国人学校への制度的保障は、日本社会の人権問題として早急に改善されるべき切迫した課題となっている。(朴三石、朝鮮大学校政治経済学部教授) 1992年12月 日弁連勧告(朝鮮高級学校の高体連加盟問題) [朝鮮新報 2008.9.29] |