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彼らのためにできること

 先日、東京朝高の2年生たちが都内数カ所で行った朝鮮学校をはじめとする外国人学校の処遇改善を求める署名活動を取材した時のこと。

 一人の女子生徒が走り寄ってきて、「署名した若い女性が5分ぐらい後にまた来て『個人情報とかあるんで、住所は消してほしい』って言うんです。だったら名前まで消せばいいのに、理解できません」と興奮気味に話した。自分たちの説明を聞いて理解したうえで協力してくれたと思っていたので、余計に違和感を覚えたのだろう。

 その一方で、「こんなに協力してくれる人がたくさんいるとは思わなかった。とてもやりがいがある」とも。

 中には署名をもらう意義をあらためて認識したのか、「もう少しやっていきます」とボードを片手に人ごみの中に消えていく男子生徒たちもいた。

 朝鮮を取り巻く情勢が緩和しつつある中、日本社会では少し前の「暴風」のような総連と同胞に対する弾圧、朝鮮学校生徒に対する暴行や嫌がらせは少なくなってきたように見える。

 だが、在日朝鮮人はもちろん、朝鮮学校が置かれている状況には根本的な変化はない。それどころか、「制裁」という名のもと、祖国へ行くのにも一苦労する時代だ。

 こんな厳しい状況の中でも、署名をしてくれたと目を輝かせて喜んでいる生徒たちを見ながら、彼らが何の心配もなく朝鮮人としての可能性を存分に発揮できる社会(世界)を作ることに全力を傾けていかなければと思った。(松)

[朝鮮新報 2008.9.16]