「日朝友好九州学生の会」 山口・下関でフィールドワークと学習会 教育闘争60周年を記念して |
「当事者の声、貴重な体験」
「日朝友好九州学生の会」が主催する1948年教育闘争60周年記念フィールドワークと学習会が6月29日、山口・下関市で行われ、福岡、佐賀、大分など九州各地の大学・専門学校に通う日本人、在日朝鮮人学生、大学教員など16人が参加。在日朝鮮人の歴史をたどり、民族教育についての認識を深めた。 朝鮮半島と日本の友好関係の構築を目指し、07年12月に結成された「日朝友好九州学生の会」は、在日朝鮮人の1948年の教育闘争から60周年を迎えた今年、「民族教育」をテーマに活動。2月に朝鮮学校を訪問し学習会も重ねてきた。 山口県では48年3月31日、日本政府による朝鮮学校閉鎖令に反対する1万人同胞抗議集会が全国で初めて開かれ、大規模な闘争が繰り広げられた。 この日参加者たちは、総連山口県本部の金静媛国際部長の案内で、関釜連絡船の乗船場跡地、関門トンネル工事殉職者碑など下関各地に刻まれた朝鮮人の歴史をたどった。その後、下関初中級学校、同校周辺の朝鮮人集住区を巡った。同地区はかつて、刑務所やし尿処理場、火葬場などが点在する劣悪な環境にあった。 参加者らは「実際に歩いて見る事によって実感できることがある。今回、在日朝鮮人の歴史と差別の実態の一端を垣間見た」と語った。
午後からは、48年当時、初級部4年生だった金教童さんの講演を聴取した。金さんは、学校閉鎖令にいたる過程について解説。「オモニのチマに入って夜をすごした」という3月31日の徹夜闘争や、生徒も一緒になって学校に立てこもったたたかい、その後の学校再建と今日までの学校を守るための運動などについて自己の体験を踏まえて語った。 そして「朝鮮学校に対する私たちの思いがなぜこれほど強いのか、少しでも理解してもらえれば」と締めくくった。 続いて、金静媛国際部長が近年、山口における朝鮮学校を取り巻く情勢について語った。 山口県は今年度から朝鮮学校への助成金を年4万円から5万円に増額した。在日朝鮮人への圧力が強まるなか、対朝鮮強硬政策を主導してきた安倍前首相の地元・山口で得たこの成果の意義を強調した。 だが、一方で下関市教育長の妄言問題が示すように、今も朝鮮学校に対する差別が存在することについても指摘した。 「日朝友好九州学生の会」の橋本純・日本人側代表は「当事者の声を聞き本では勉強できない貴重な体験ができた。今回の企画が成功したことを嬉しく思う」と語った。李充根・朝鮮人側代表は「これからも対話と交流を重ねながらしっかり学び、その成果をもっと発信していきたい」と抱負を述べた。 同会では今後、8月に訪朝団、朝鮮学校訪問、映画「ウリハッキョ」上映会などを予定している。【留学同九州】 [朝鮮新報 2008.7.14] |