市民連帯・大阪 ウトロ、耳塚フィールドワーク 「日本の過去の歴史は今の問題」 |
「日朝国交正常化の早期実現を求める市民連帯・大阪」(市民連帯・大阪)が主催するウトロ・耳塚フィールドワークが6月29日に行われ、有元幹明、永久睦子、松本健男、加来洋八郎の各共同代表をはじめとする日本市民と同胞ら約50人が参加した。参加者らは、JR大阪駅からバスでウトロと耳塚を見てまわった。市民連帯・大阪ではこれまで、日本の朝鮮侵略の歴史と現在も続いている在日朝鮮人への差別の現実を知ろうとの目的で統国寺(大阪市天王寺区)などへのフィールドワークを毎年行ってきた。 現状を目の当たりに
ウトロ(京都府宇治市伊勢田町)に到着した参加者らは、総連京都・南山城支部の李武律副委員長から同地についての説明を聞いた。 李副委員長は、本来であれば解放前からこの地で暮らしてきた1世同胞たちから話を聞くのが一番いいが、すでに他界したり、今住んでいる人も高齢で体が不自由であったり、さらに6月20日の大雨によって他の場所に避難しており、機会を設けられずに残念だと語った。そして、ウトロについて紹介したビデオを上映した後、歴史と現状について解説した。 李副委員長は、土地問題では一定の前進が見られ、行政側と町づくりの協議が進んでいると指摘。生活権を獲得することはもちろん、ウトロの歴史を記録と記憶から無くさないために公営住宅を建ててみんなが共に暮らすというのが住民の一致した意見だと紹介した。 そのうえで、今年だけでもすでに3人の1世同胞が亡くなったと述べながら、ウトロ問題の本質は歴史問題であり生存権の問題だと強調。参加者ら全員がウトロのことを頭の片隅において支援してくれることを望むと締めくくった。
フィールドワークに先立ち、市民連帯・大阪の永久睦子共同代表が、ウトロ町内会の金教一会長にカンパ金を手渡した。 金会長は、雨にもかかわらず訪問してくれたことに謝意を表しながら、「6月27日に、緊急避難用として空いている公営住宅を利用することや井戸の水質調査、水害の根本的な原因の究明など、大雨被害の対策を講じてくれるよう宇治市に対して要望したが、けんもほろろだった。これからも、よりいっそうの支援をお願いしたい」と訴えた。 その後、参加者らは李副委員長の案内でフィールドワークを行った。参加者らの多くはウトロを訪問するのが初めてで、隣接した他地区との高低差や側溝が設けられていないなど、住民らが置かれている厳しい状況を目の当たりにした。 正しい歴史教育を 耳塚(京都市東山区)でのフィールドワークでは、在日本朝鮮社会科学者協会大阪支部の金洪圭顧問が解説した。金顧問は、耳塚のあらましと建立の経緯などについて述べながら、「正しい歴史を教えていないことや、歴史をわい曲する動きが顕著になっていること、メディアが『北朝鮮=悪』というイメージを植えつけることに躍起になっていることなど、すべて相通じるものがある。耳塚は、豊臣秀吉の朝鮮侵略から始まり、明治時代以降のアジア侵略など、日本の過去の罪悪の原点だ」と強調した。 フィールドワーク参加者らは、「ウトロでの副委員長の話に大きな感銘を受けた。歴史問題は小手先で解決できるものではなく、本質的に解決すべきことだ。これからももっとしっかりやっていかなければならないと思った」(黄河春さん)、「今日はとても勉強になった。今回のフィールドワークを糧に日朝国交正常化のためにがんばっていきたい」(伊関要さん)などと感想を述べた。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2008.7.7] |