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大阪朝高グランド改修 卒業生親子の熱い思い

「大切な後輩たちのため」

 大阪朝鮮高級学校で6月16〜21日にかけて大規模なグラウンド改修工事が行われた。当初は構想も計画もなく途方もないものだったが、同高卒業生親子の熱い思いと生徒たちの切実な願いが工事を成功させた。

「とことんやる」

大規模な工事を手伝う生徒たち

 きっかけは一本の電話だった。「ジョンホ(鍾浩)アボジ、雨が降った後、グラウンドに水溜まりができて、練習になりません。砂を分けてもらえませんか」。

 電話の主は大阪朝高サッカー部監督。この一言が砕石業を営む李達圭さん(18期卒、54歳)の胸を打った。

 以前から、グラウンドの状態が悪いことを気にかけていた達圭さんは、その日の内に学校に赴いて状態を調べた。その劣悪さに驚き、10トンや20トンの砂では足りないと判断、200トンの土を手配した。息子の鍾浩さん(45期卒、27歳)を連れ、自ら重機のハンドルも握った。

 しかし、いざ工事を始めてみると、部分的な補修では追いつかないことがわかった。

 「アボジ、どうする?」

 「始めたからには、とことんやる」

 こうして大規模な工事が始まった。

 グラウンドは約3000坪。水溜りの原因は、周囲の土が粘土質に変質し、盛り上がっていることにあった。そこでまず、ショベルカーでこの粘土質の土を約500トン除去し、砂利400トンを使って排水溝を作った。

「水溜りない!」

グランド改修を行った李達圭(右)、鐘浩さん親子

 「専門業者に頼んだら1千万円」とも言われる大規模な工事。費用が心配されたが、達圭さんは「息子にローンで払わせますよ」と笑い飛ばした。

 恩師であるラグビー部監督の労いを受けた鍾浩さんは「始めたからには、後輩のためにもとことんやらないとね」と力強く応えた。

 鍾浩さんは8年前、同高ラグビー部が府大会で初めて決勝進出を果たしたときのナンバーエイト。部のモットーは「ひたむきに、前へ!」だった。

 達圭さんの会社の従業員も動員され、サッカー、ラグビー部員たちもともに手にスコップやトンボを握り後に続いた。

 そして、新しい土が流し込まれた。500トン、1000トン、そしてついに1500トンを超えた。生まれ変わった褐色のグラウンドは、まばゆいほどに輝いて見えた。

 工事終盤のある夜、大阪は大雨に見舞われた。

 翌朝、登校した生徒たちはグラウンドを見て驚いた。

 「水溜まりができてない!」

 大阪朝高のグラウンドは生まれ変わった。

 「大事な後輩たちのため」−李さん親子の熱い思い。新しく生まれ変わったグラウンドで、同校生徒たちはその思いに応え、新たな成果と伝統を築きあげていくだろう。【大阪朝高】

[朝鮮新報 2008.7.2]