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4.24教育闘争60周年 演劇とパネルディスカッション 「京都・滋賀の民族教育」

「4.24の精神」、若い世代が

 4.24教育闘争60周年を記念する「京都・滋賀の民族教育〜4.24教育闘争60周年を迎えて〜」が11日、同志社大学(今出川キャンパス)で行われた。演劇、パネルディスカッションの2部で構成された集いには、京都と滋賀などから同胞、日本市民ら350余人が参加、60年前の闘争に思いを馳せた。

マダン劇に魅せられ

劇団「タルオルム」は1948年の教育闘争を生活的に描いた

 05年に結成された劇団「タルオルム」は、「4.24の風」と題したマダン劇を披露した。この劇は1948年1月24日、当時の文部省学校教育局長が都道府県知事あての「朝鮮人設立学校の取扱いについて」通知後、同胞子女らがその撤回などを求めた手紙をGHQ最高司令官に送ったことや、兵庫と大阪で起きた同年4月の教育闘争など当時の情景を描写し、「朝鮮学校を守ろう、朝鮮語を守ろう」とたたかった在日同胞の姿を描いた。

 出演者のひとり、「タルオルム」の金民樹代表は、「生活のなかのたたかいであった」と体験者への聞き取りなどを通じ実感したという。聞き取りの過程では、同胞女性らが集会前日におにぎりを作り支援した事実も確認した。「当時の同胞がどのような心境で教育闘争を迎え、どうたたかったのかを観客参加型のマダン劇を通じ同じ空間を共有することで体感してもらい、『ぜったいに負けない』という1世の気持ちを伝えたかった」と金代表は語った。

 立ち見が出るほど盛況だったマダン劇は、観衆の涙を誘った。

 「学生のときから頭の中に刻まれていた『4.24』だったが、忘れかけていた。久しぶりに思い出した」と劇の感想を語った兵庫県西播地域出身の李敏美さん(35、京都朝鮮第3初級学校学父母)。李さんは、朝鮮学校におけるオモニ会の活動も、教育闘争当時の同胞の魂を受け継ぐ重要な事業であると実感を深めた。「京都第3初級の学校関係者が世代を超え一丸となって学校のために励んでいる。ウリハッキョを守る気持ちが途切れることなく必ず次世代に伝わると信じている」と力強く語った。

 また、滋賀朝鮮初級学校幼稚班の金隆泰教員(31)は、学校を守ろうとたたかった当時の同胞の情熱と、今日に生きる自らの現状を比較すると、幾度となく涙があふれたという。「たたかった同胞がいて今があるということを再認識するとともに、若い世代として今日のような場を設け日本市民と手をとり合い、滋賀における民族教育を発展させていきたい」と語った。

貴重な体験者の証言

4.24教育闘争について証言した朴道済さん

 パネルディスカッション「4.24教育闘争から60年〜朝鮮学校の過去と現在〜」では、共同実行委員長で「朝鮮学校を支える会・京滋」共同代表でもある中尾宏・京都造形芸術大学客員教授が、今後も引き続き朝鮮学校を支援していく意向を示し、パネルディスカッションが60年の節目となる重要な契機になるだろうと述べた。また「朝鮮学校を支える会・京滋」事務局から活動報告があった。

 水野直樹・京都大学教授の司会で行われたパネルディスカッションでは、朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長が4.24教育闘争の概要と歴史的意義について、松下佳弘・世界人権問題研究センター嘱託研究員が京都における朝鮮人学校の閉鎖期(1948〜50)の状況について発言した。また、「子どもの目から見た『4.24教育闘争』」と題し滋賀朝鮮初級学校の趙花順さん(初6)が当時の滋賀県下朝鮮学校に在籍した生徒の共同作文「特設学級」を朗読した。

 続いて体験者の朴道済さんが証言した。

 陶化小学校の校門横に設置された2階建ての在日校舎に通ったという朴さん。大阪府庁前での人民大会で銃殺された同胞青年の追悼会を同校の講堂で行ったと語り、そのときに歌った追悼歌を壇上で披露した。当時の生々しいエピソード、同胞のたたかいぶり、民族教育存続の重要性について訴えた。

日本人の支援受け

 京都府と滋賀県下の朝鮮学校5校を支援しようと06年4月に結成された「朝鮮学校を支える会・京滋」はこの日、日本の学生を中心とした日朝友好団体「FACE Project」、ドキュメンタリー映画「ウリハッキョ」上映会実行委員会メンバーとともに、京都朝鮮学園と滋賀朝鮮学園に支援金を贈呈した。実行委員会事務局として行事開催に尽力した「支援する会・京滋」の江原護事務局長は、「体験者がどんどん少なくなっているなか、今日聞いた証言はとても貴重だった」と語った。

 また、実行委員会事務局の柴松枝さん(京都民族教育対策委員会事務局長)は、「4.24の精神は若い朝鮮学校学父母らにもしっかりと受け継がれている。その精神を、支援する会をはじめとする日本人士と力を合わせ、しっかりと継承していきたい」と語った。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2008.5.19]