4.24教育闘争60周年記念 兵庫民族教育フォーラム |
3つの論点でパネルディスカッション 「民族教育の過去、現在、未来」 4月27日、神戸国際会議場で4.24教育闘争60周年記念「兵庫民族教育フォーラム」が開かれ、パネルディスカション「兵庫民族教育の過去、現在、未来」が行われた。西播朝鮮初中級学校の許敬校長の司会のもと、3つの論点について話し合われた。主な内容を紹介する。 「民族の誇り取り戻すたたかい」 歴史的意義と教訓
解放後、米日による弾圧とそれに反対する各地の在日朝鮮人のたたかいについて解説した在日本朝鮮人人権協会の金東鶴事務局長は、民族教育と朝鮮学校を守るためにたたかった兵庫の同胞たちの勝利は、日本当局に「朝鮮学校を潰すことはできない」と断念させる重要なきっかけになり、各地の運動に大きな力を与えたと強調した。 朝鮮学校を守り発展させてきた同胞たちのたたかいについて体験を語った総連加印支部の全在鴻顧問は、同胞たちが朝鮮学校閉鎖令に反対してたたかったのは、言葉と名前まで奪われた日帝植民地時代のような境遇に逆戻りしてはならないと痛感していたからだと指摘。「4.24は朝鮮民族としての誇りを取り戻すたたかいだった」と語った。 日本政府の民族教育に対する弾圧は植民地時代、朝鮮人に「皇民化教育」を強要したことに始まると指摘した丹羽雅雄弁護士は、国際人権運動、社会運動の視点から見た場合、4.24教育闘争は、民族自決、民族教育権確立のためのたたかいだったと強調。日本社会が植民地主義による戦争責任を放棄し、冷戦構造に乗じて朝鮮人弾圧を放置し、日本の平和憲法を空洞化させる転換点になったと言えると指摘した。 同胞社会の担い手を育成 民族教育発展の軌跡と業績 高砂朝鮮初級学校で教育会会長を歴任した全在鴻顧問は、民族教育創成期、同胞たちが力と知恵を結集して学校を建てたことを振り返り、「民族教育は私たちの生命線」と強調。「新しい世代が1、2世のように民族教育を守り、朝鮮学校で立派な朝鮮人が育つよう汗を流してほしい」と語り、団結の重要性を訴えた。 尼崎朝鮮初中級学校オモニ会の金静子会長は、初級部時代に父母や同胞たちが校舎建設に必死に取り組んでいた姿を今もしっかり覚えていると語り、「そんな姿を見て成長した後世がいま4.24の精神を引き継いで学校を守っている。だから、子どもたちが朝鮮学校で学ぶことができると実感している」と語った。 神戸朝鮮初中級学校の金錫孝校長は、民族教育の業績について「4.24の精神」を継承し民族的アイデンティティを守ってきたこと、国際舞台や多様な分野で活躍する有能な人才を育成してきたこと、日本にいながら在日同胞社会を守ってきたことを挙げた。 金東鶴事務局長は、朝鮮学校出身者の大学受験資格問題、東京朝鮮第2初級学校の土地の裁判問題について言及し、日本市民との連帯の中で権利が拡充され民族教育が発展してきたと指摘。朝鮮学校の全面的な制度保障のために、より広範に運動を展開しなければならないと強調した。 確固たるビジョンの共有を 民族教育の未来像と課題 金錫孝校長は、生徒数の減少、朝鮮学校の運営、多様化したニーズに対応した教育の改善など民族教育の実情について具体的な統計や実例をもって解説。日本学校との比較の中で朝鮮学校を、選択される魅力ある学校に築き、学校単位ではなく県、組織、同胞社会的規模で支援していかなければならないと指摘した。そして、兵庫民族教育が育成すべき人材像として、▼民族自主意識の確立、民族的素養と正しい歴史認識の所有、▼現代科学知識と健全な体力の所有、▼豊かな人間性と道徳心の所有を挙げ、実際に県下の各級朝鮮学校で実施されている教育の内容や方向性について解説した。 丹羽弁護士は、日本弁護士連合会勧告(1998年2月、2008年3月) など朝鮮学校の処遇改善のための日弁連の活動について紹介し、民族教育は国際人権基準に照らして当然、保障されるべき権利だと強調。多くの外国人学校と連帯して子どもたちの学習権を擁護する運動を展開しなければならないと訴え、連帯の意志を示した。 尼崎朝鮮初中級学校と尼崎東朝鮮初級学校の統合について言及した金静子会長は、「学校がなくなることは寂しいが、未来のための統合だと信じている」と涙ながらに語り、「子どもたちが楽しく学校に通えるよう、1、2世たちが命を懸けて守った民族教育を、母親たちも保護者、地域同胞たちと力を合わせて守っていきたい」と決意を語った。 許敬校長は、日本当局の差別政策は根本的には変わっていないと指摘、若い世代が「4.24の精神」を継承し、各界各層が力を合わせ、明確なビジョンを共有して民族教育を発展させていこうと呼びかけた。(泰) [朝鮮新報 2008.5.7] |