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「草むしり」

 今年もこの日がやってきた。歌劇団恒例、夏の草むしり。梅雨時期にもかかわらず、日差しが燦々と降り注ぐ気温30℃の真夏日となった。私たち団員は日焼けは絶対禁物。

 なのでこの日は、長袖、長ズボン、口にはマスク(とくに声楽部員にはのどを痛めないための必需品である)、首にはタオルを巻いて、帽子を目深にかぶり、万全の態勢で草むしりに臨む。

 それぞれの部署に区画が割り当てられ、いざ、草むしり開始。最初のうちはミミズや虫などにキャーキャー言いながらみんなで和気あいあいとやっていたのだが、20分ほど過ぎた頃からは滝のような汗が流れ、日差しで吸い取られて行く体力との闘いの中、口数も少なくなり、脇目もふらずに草をむしっていく。大きいゴミ袋50個分くらいの雑草を2時間ほどですべてきれいにし、炎天下での草むしりが終わった。

 きれいになった敷地を見渡しながら、ふとこんなことを思った。

 今、総連組織や在日同胞たちは苦難の時を迎えているが、歌劇団とて例外ではない。しかし、こうして自分たちができる範囲でこつこつとやれることをやり、自分たちの手で守っていけば、その小さな力がやがて大きな力になっていくのではないかと。

 そんなことを考えながら、私はあらためて自分に与えられた仕事を一生懸命がんばろうと思った。

 次の日、草むしりによりあちこちかぶれて、かゆくてたまらない体にキンカンを塗りまくりながら、職場へ。(蔡慶愛、金剛山歌劇団、声楽家)

[朝鮮新報 2007.8.18]