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チョソンサラム

 「ジャング」。名前の由来は知らないが、ジャンボキング。去年の夏にわが家にやって来たオオクワガタだ。次男曰く「ジャングは立派な家族の一員」。エサをあげたり話かけたりと熱心に世話をしている。

 数日前、子どもたちがジャングの異変に気づいた。片方の足が動いていない。かぼそい足を引きずりながら木によじ登っている。クワガタの寿命は驚くほど短い。与えられた短い命を、精一杯生きているように見えた。

 ジャングを心配して優しくなでてあげる息子たち。ときには壁をつたって行くアリをどこまでも追いかけたり、ダンゴムシを宝物のように持って帰ってくる。人はこうして生き物と触れ合い、命の尊さを学んでいくのだろう。

 連日起きている、痛ましく想像しがたい犯罪の数々に憤りをおぼえる。目と目が通じ合い、肌と肌が触れ合い、言葉と言葉が行き交ってこそお互いをわかりあえる、そんな人間らしさを大切にしたい。

 昨今、凶悪な事件がはびこる背景には歪な日本の社会が反映されている。子どもたちに及ぼす影響は多大だ。こんな時だからこそ、自分を見失わないでほしい。自分は一体何者なのか。チョソンサラムとしての自分。

 揺るぎない自覚と誇り。私は確信を持って今日も子どもたちを学校に、ウリハッキョに送り出す。

 また、いつものあわただしい一日がはじまった。

 「タニョオゲッスムニダー(いってきま〜す)」

 「チョシメヨー、チャル タニョワー(気をつけていっておいで〜)」(金良江、民族学級講師)

[朝鮮新報 2007.5.24]