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伝統食−民族性育む日常の食卓

 気候異変が伝えられている。師走に入った東京では、やっと木々が色づいて、クリスマス商戦と紅葉が隣り合わせ、という珍しい風景が出現した。

 歳末を迎えるたびに、焦りを感じてしまうのは、暮れの大掃除や正月料理の心配。普段から多忙を口実に、暮れにまとめてやろうと積み残してきた家事が、段々と目前に迫ってきた。段取りをよくして、小まめに働けば、家の中がもっとすっきりするのにといつも思うが、毎年、「ため息」と「後悔」の連続である。

 正月料理もそろそろ考えなければならない。伝統的なトックなどとともに、今年は何か目新しいものを作らねば、と頭を悩ます。

 イオやセセデの料理特集、はては本屋で料理本を立ち読みしながら、料理のポイントを頭に入れて、自分なりにアレンジする。旬の食材を利用しながら、安くて、おいしくて、ボリュームたっぷり、そして朝鮮風のものを創って、みなが喜んでくれれば、苦労が報われるというもの。

 人が生きていくうえでおろそかにできないのは「食」生活である。栄養面だけでなく、精神面でも大きな影響を及ぼすのは周知のこと。

 とりわけ、先月24日朝大で行われた留学同と朝大が共催した学術フェスタで、朝大生の発表した論文の中に興味深い指摘があった。学生たちにアンケートしたところ、民族性をもっとも感じるのは「朝鮮料理」であり、次いで「祭事」という答えだったという。

 毎日の暮らしのなかに息づくキムチなどの伝統食。そこで育まれた味覚や嗜好は、その人の一生を左右するといっても過言ではないだろう。家事の手抜きをしてきた者としては、胸が痛む。(粉)

[朝鮮新報 2007.12.1]