蘇った高句麗文化−魂揺さぶる民族のルーツ |
3年前、中国・蘇州市で開かれたユネスコ世界遺産委員会で朝鮮の高句麗壁画古墳群が世界遺産に登録され、現地で取材したことがあった。単身だったので先に現地入りした朝鮮政府代表団が歓待してくれたときの安堵感が忘れられない。 日本の記者たちへのひっきりなしのブリーフィングも「君に任せるよ」といわれて、その大らかさに感激したことを昨日のように思い出す。
この取材には人一倍思い入れが深かった。もともとスケールの大きい高句麗史に引かれていたが、生前、歴史家の江上波夫先生にお会いしたとき、先生が「高句麗の始祖王・朱蒙と朝鮮の金日成主席はとてもよく似たリーダーだ」とおっしゃっていたのが強く心に刻まれていた。 主席と4度も会った先生は、朝鮮の国造りの印象について、「騎馬民族の伝統が生きている」としながら、「つまり、指導者が国民に大きな夢、理想を与え、人々が互いにいたわりあってそれを実現するために仕事に励んでいくわけです」と 語り、「物質文明の今の時代には、とても考えられないような豊かな精神文化を築いている、まさに英雄的な国だ」と説明された。 こんなロマン溢れる話を直接聞くと、わが民族史への愛着がますますわいてくるというもの。南で「朱蒙」や「太王四神記」の歴史ドラマが大人気を博しているのも、東北アジアに馥郁たる文化の足跡を記した高句麗史への誇らしさからであろう。 共同通信社が東京、平壌、ソウルで行った高句麗古墳壁画写真展は、その栄華を誇った高句麗文化を1500年の時空を超えて現代に蘇らせたもの。関係者の尽力に敬意を表したい。(粉) [朝鮮新報 2007.11.2] |