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「首相転落」−手のひら返すメディア

 「美しい国」を掲げた安倍首相の無残な結末に、メディアが言いたい放題の悪口を浴びせている。

 曰く「自爆テロ」「安倍逃亡」「サイテー総理」…。1年前には、「戦後生まれ初宰相」「闘う政治家」とか、虫唾が走るような褒め言葉を捧げていたのに、権力の座から転げ落ちたとたん、世間の風ならぬ、メディアの変わり身の早さよ。

安倍首相の退陣を報ずる週刊誌

 「毛並み」と「人気」だけでは、政治家ばかりか、ほかの職業だって務まらない。

 もうみんなは忘れただろうが、あの薄っぺらな本「美しい国へ」には、こんなくだりがある。

 「確たる信念をもち、たじろがず、批判を覚悟で臨む」と。

 辞める直前の臨時国会での所信表明演説でも、インド洋での自衛隊艦船による給油継続を誓い、テロ特措法延長に大見得を切って「職を賭す」とまで宣言した。あぁ、それなのに…。

 でも、まぁ、こんな物騒な人は、去ってくれた方がいいに決まっている。「美しい国」とか「品格」とかいう実像とはかけ離れた言葉がやたら氾濫するのは、日本語が乱れる原因になるのではないかと、老婆心ながら考える。

 安倍首相は在任中、「従軍慰安婦」問題についても、全く誠実な対応を見せなかった。アジアだけでなく、欧米をはじめ国際社会から総反撃を浴びたのは、記憶に新しい。米国のネオコン、日本に蔓延する国家主義や排外主義の渦に身を委ねて、歴史の歯車を逆戻りさせてしまった。

 仏の哲学者、アラン・ブロッサ教授が語った日本の政治家たちの「手の施しようのない小児病」に、果たして有効な処方箋はあるのか。(粉)

[朝鮮新報 2007.10.12]