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「女性は産む機械」か−ナショナリズムに利用されるな

 「女性は産む機械」。この柳沢厚労相の発言が日本列島をかけめぐっている。

 いつも思うことだが、日本のメディアの的外れの批判が歯がゆい。

 「少子化対策が心配だ」(朝日新聞社説)などとこの問題をとらえているのが大半だが、それだけでは済まない。この無神経な発言は、戦前のように、女性の人権を軽視し、「子産みの道具」として、戦争に動員しようとする安倍政権の本音そのものだからだ。厳しく批判すべきは、その発言に潜む好戦性であり、女を家庭に縛りつけようとする女性蔑視観なのである。

 「美しい国」を連発する安倍首相は、大のフェミニズム(男女平等、女性の抑圧からの解放)嫌いとして知られている。就任前は靖国賛美を繰り返す一方で、「フェミニズムは家族を破壊する」「男女共同参画基本計画の是正に取り組みたい」などと公言してはばからなかった。

 侵略戦争を賛美し、一方で女性差別を肯定してジェンダーフリー・バッシングに拍車をかける右派政治家たち。民主党の中山よしかつ議員の「男は男らしく国を守り、女はその男にサービスする。これによって国の形が守られるのであって、男らしさ女らしさがなくなることは国家の崩壊だ」という低劣な発言にその本音がよく現われているのである。

 日本はかつての侵略戦争の際、天皇制の下で「産めよ、増やせよ」と家族の生殖まで支配した。女性たちは「天皇の赤子・日本軍兵士を産む道具」として扱われた。その結果、アジアにおける日本軍による戦争犠牲者は2000万人以上にものぼった。

 女性たちには再び国家主義に利用されることのないように、強く警鐘を鳴らしておきたい。(粉)

[朝鮮新報 2007.2.9]