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朝鮮のお餅−「トックッを何杯食べた?」

 朝鮮では昔、餅は特別な日のごちそうであり、先祖の祭祀(チェサ)や、結婚式、還暦祝い、トル(1歳の誕生祝い)、百日(ペギル、生まれて100日目のお祝い)などに近所の人に配り、その日を共に祝うのに欠かせない食べ物だった。今でもその風習は受け継がれているが、東京・新大久保のコリアタウンなどでは屋台で「トッポッキ」や「ホットッ」が売られるほどポピュラーなものでもある。

 同胞の結婚式ではテーブルの上に、よく「チャルトッ」が置かれている。歯ごたえのある弾力と甘さを控えた味が特徴の「チャルトッ」は、もち米で作ったお餅。これには新しい人生を共に歩み始める2人が、「チャルトッ」のようにピッタリとくっついて離れないように、との願いが込められている。

 赤ちゃんが生まれて百日目になる日や1歳の誕生日には、うるち粉に塩を混ぜて塊のまま蒸した「ペクソルギ」を作って親せきや近所の人たちにわけた。「ペクソルギ」は何も混ぜず純白色であるため、子どもが純粋に、また健康に育つようにと願う意味が込められている。

 お正月には「トックッ」を食べる。小判型に切る前の棒状の餅を「カレトッ」という。「カレトッ」を長く作るのには、1年間吉が続くようにとの願いが込められており、白くて長い形が長寿を意味するため、正月には「カレトッ」の入った「トックッ」を食べる。

 「トックッ」に入っている餅が小判型に薄く切られるのは、いろいろなことが豊かな1年になるようにという願いも込めているため。ちなみに、「トックッ」の餅は年の数だけ入れる。「トックッを何杯食べたんだい?」という問いかけは、「年がいくつになったんだい?」という意味である。(潤)

[朝鮮新報 2007.1.13]