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「拉致」を前面に押し出して対朝鮮強硬策に固執している安倍政権にとって、朝米作業部会の結果はよほどショックだったようだ。朝鮮中央通信が3日に報じた報道、とりわけ「テロ支援国リストからの削除」というくだりに、過剰な反応を見せている ▼報道に接した安倍首相は4日、「米国はそういうことはないと言っている」「ブッシュ大統領は拉致問題を置いていくことはないと言っている。置き去りはない」と語った。駄々をこねて母親になだめられる子どものようにすら見える ▼世界から孤立しているということをようやく自覚したのか、メディアは5日からウランバートルで行われる朝・日作業部会に「期待感」を寄せているようだ。作業部会の朝鮮側代表を務める宋日昊大使の「6カ月ぶりに協議が開かれる。(私は)期待感をもって協議に来た」との発言を引用し、あたかも朝鮮側が積極的であるかのように報じているが、むしろ積極的にならざるをえないのは日本側だろう ▼メディアは、朝鮮側が安倍首相の発言を「評価」したと報じているが、安倍首相が過去の清算に初めて触れたことは当然のことであり、決して「評価」に値するものではない。日本の外交当局者の間では「期待が広がっている」そうだが、朝・日間の本質的な問題をまったく理解していない ▼「人道支援がその時々の政治的困難を乗り越える場合は、可能性としてある」(与謝野官房長官、4日)という、人道支援を政治の駆け引きとしか考えられない政権では、本質を理解できないのも当然かもしれない。(国) [朝鮮新報 2007.9.5] |