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春・夏・秋・冬

 参議院選挙投票日を数日後に控えたある日、日本での特派員勤務を終えて本社に戻ることになった南の記者の歓送会を兼ねて数人が集まった。彼の同僚、友人、中国・地方紙の特派員、日本の有力紙の政治部記者、雑誌編集者など多彩な顔ぶれだった

▼話題は、当然のように参議院選挙結果の行方になった。自民党敗北では一致。50台を予想する記者はおらず、30台が大勢を占め、40台前半が4分の1という具合だった

▼そこで白熱したのが、橋本政権が退陣した数を下回った場合、安倍首相が辞めるのかどうかの議論だった。これに対して、辞めると答えたのはたった一人。「常識があれば辞めるでしょう」。残りは全員、「その常識に欠けているので辞めないだろう」だった。結果的には後者が当たりだった

▼この時、フリーランスをしている50代の南の記者が日本の記者たちに発した言葉が強烈だった。「日本の新聞はなぜ真実を伝えようとしないのか。間違ったことに対しては意見を提起し正すなど、社会の木鐸としての役割を果たしているようにはとても思えない。安倍さんに対する論調を見ていると、何か奥歯にものが挟まったような物言いで、ズバリとは書かない。事実を知らされず、政治宣伝に煽られて一点しか見つめられないように仕込まれていく日本の世論を見ていると空恐ろしくなる」

▼「マスコミの一挙一動を注視し、牽制する官邸とその周辺」。政策批判に対しては「取材拒否にも似た対応と現場での無視」など。結果的に自己規制に走る。悪循環、指摘された側の現状もすさまじい。(哲)

[朝鮮新報 2007.8.3]