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春・夏・秋・冬

 軍事大国化、右傾化へと突き進む日本の社会で、石橋湛山の主張が注目を浴びている。彼は記者時代、朝鮮と台湾を植民地にして、帝国主義へとひた走る1920年代の日本の現状を憂い、持論である「小日本主義」について東洋経済新報で論理的かつ理性的に説いた

▼曰く、植民地を維持したところで経済的効果は小さいばかりか、領土拡張によって軍事費はかさみ、国民にとっては何一ついいことがないと切り捨て、小欲を棄てて植民地を解放することにより、東洋全体、ひいては全世界の道徳的支持を得るという大欲を満たした時、その利益は計りしれないと。しかし彼の主張が受け入れられることはなく、日本は「大日本主義」、軍国主義へと突き進み、あげくにどのような末路を歩んだかは歴史が証明している

▼しかし、90年代後半から「米日安保共同宣言」「新ガイドライン」「周辺事態法」など時代に逆行する動きが見え始め、安倍政権発足後は、軍事力強化と海外派兵のための憲法改正など、その動きがさらに加速した

▼多くの良心的な日本市民は、安倍政権のこうした動きと並行して行われている、総聯と在日同胞に対する政治弾圧や人権蹂躙を目の当たりにして、「戦争のできる国」への回帰を憂いている

▼著書でも明らかなように、安倍首相の歴史観は「強国に支配され統治されるか、強国となって他国を統治するか」というもの。石橋湛山がまさに主張した「小欲にとらわれた」ものだ。戦前の轍を踏むのではなく、「大欲を満たす」ための一大転換が必要な時ではないのか。(国)

[朝鮮新報 2007.6.8]