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「30数年前といえば田中内閣の時代で安倍首相は二十代前半。そんな時の事案を、拉致だと云々して大騒ぎし、強制捜査までするなんて、政治のやることではない」。旧知の日本の友人たちとの会合で噴出した意見である ▼「しかし、悲しいながら、そんな首相を選んだのはあなた方ではないのか」との問いに、一瞬、沈黙が流れる。「いや、直接選挙ではないからわれわれではない。永田町の世界が選んだ」と弁解する声あれば、「政治経験も浅ければ、国会議員2世として基盤はじめ整えられた種々の条件下で選挙に出たのだろうから苦労もしていない、そんな人間しか政治家になれない国になってしまったのかな」とヤケ気味の声も。すでにあきらめに近い ▼「いや、あきらめてはならない。こんな状況、幾度も体験してきたではないか。あきらめるのを彼らは待っているのだから、どんな形であれ声を上げ続けていくことが重要だ」ということで会合は散会となった。自浄能力がないのなら、変わらざるをえないようにするのも一つの方法だ ▼6者会談「2.13合意」の早期履行を求めるのも一つの手だ。実際、ブッシュ政権は、安倍首相が訪米時に求めた「拉致問題解決をテロ支援国家指定解除の条件に」との要請を、米国内問題だと一蹴した ▼政治力学に、敵対するAとB、同盟するCとDそれぞれの関係は絶対ではなく、AとC(あるいはBとD)の同盟によって構図は崩れるという論理がある。かつての中ソが敵対し中米が国交樹立した例がわかりやすい。米日もそんな要素をはらんでいる。(彦) [朝鮮新報 2007.5.14] |