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4月25日、早朝から東京・白山の朝鮮出版会館一帯は異様な雰囲気に包まれていた。7時半過ぎ、会館内の本社編集局に出勤しようとした筆者の目に飛び込んできたのは、白山通りをはさんで、ずらっと駐車している黒塗りのハイヤーの一群だった。思わず、体に寒気が走った。警視庁から事前にファクスで連絡を受けた各社マスコミ、これが翌日からの安倍訪米に合わせた常軌を逸した政治弾圧、不当、不法な強制捜索の序章だった ▼8時過ぎにはその記者たちが会館前に群がり始め、30分過ぎには閉めた門を開けるようにとの警視庁公安部捜査員の声、そして令状の提示。対象事務所が存在しないこと、関係者が出勤していないこと、弁護士の立会いを要求する会館関係者の説明にも関わらず、別の捜査員の一群は応対する会館関係者の後ろからドアをこじあけて捜索に踏み切ろうとした ▼「弁護士の立会いは必要ないんだ、関係ない」。声を張り上げ、「なんだお前らは」と、いかにもすべての権力が自分にあるんだといわんばかりの、白っぽい背広姿の一人の捜査員 ▼ほかの捜査員は黒の背広に警察というネームの入ったゼッケンを着ていたが、この男だけは違った。そのチンピラ調の言葉遣いといい、憎々しげに人を睨み付ける目つきといい、まるで犯罪人の様態そのもの ▼「30数年前の事件でなぜ今、強制捜索なのか。警視庁の現場関係者は、不可能な事を可能にしろと、安倍首相とその周辺、そして彼らに取り入ろうと必死の警察庁トップの政治的野望達成のための動員に辟易している」(事情通)という。(彦) [朝鮮新報 2007.4.28] |