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国連制裁もものかは、濃縮ウラン生産計画を継続推進しているイランに対し、米軍が軍事攻撃準備を進めているという。イラン海域には空母など艦船が集結し、いつ空爆が始まってもおかしくない状況だと伝えられている ▼一方、米兵の死者が3千人を超えたイラク。ブッシュ政権は懲りずに2万余人の増派を決定した。今秋、イラク軍への治安維持権限委譲を前にした大掃討作戦のためだとの説明だ。これに対して米世論の7割が増派反対を表明し、ブッシュ大統領の支持率は32%にまで落ち込んだ(AP通信)。本当に末期である ▼キリスト教原理主義を根底にした「世界自由民主主義革命」(外務省休職中の佐藤優氏)をめざしたネオコン、そしてブッシュ大統領の野望はその無知ゆえに潰え去ろうとしている。そのために犠牲になった者のことを思うと、浮気な世論による無能な指導者選択の持つ怖さ、なんと愚かな行動だったのかと暗澹たる気持ちになる。ところが訪欧中の安倍首相は、今回もブッシュの選択を支持した ▼その安倍首相、行く先々で拉致問題について言及した。宣言通りの「拉致外交」だが、逆に日本外交の底の浅さを見せ付ける結果になったのではないか ▼「拉致は2国間の問題。日本支持はリップサービス。ドイツもフランスも最大懸案はイランの核であり泥沼化したイラクの今後だ。核、ミサイルが最優先で、拉致はずっと下位のランクだ」とは、現職欧米外交官の指摘。政権維持のためのパフォーマンスに騙されてはならない。政治資金問題など足元はぐらぐらだ。(彦) [朝鮮新報 2007.1.15] |