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春・夏・秋・冬

 年初め。どのマスメディアも今年1年の状況がどうなるのか、特集、分析に余念がない。しかし、どれもこれも似たり寄ったりで、どっしりと構えた読み応えのある物は少なかった印象だ

▼その中で、ある座談会で、読売新聞社グループ会長が口にした一言が頭に残った。今年、日本政治の有り様について、どういうことを望むのかという司会者の問いに「原点回帰」を課題として挙げたのだ。これには但し書きがついていて「復古主義ではない」と。拝金(市場原理)主義の許容、親殺しに子殺し、いじめ、著しい社会格差の拡大などを目の当たりにして、今の日本政治の舵取りは間違っているという趣旨の事を口にした

▼同会長は、朴正煕軍事独裁政権を登場させた米国の対ソ戦略の要求下、早急に南朝鮮と日本の国交正常化を図るために新聞記者でありながら「密使」のような裏の役割を果たした人物として知られている。こうした人の口から今の政治の有り方について異論が出されるとは、(われわれにはすでにわかりきっている事なのだが)よほど状況がいびつ、異様なのだろう

▼実際、再生、改革、チャレンジと心地よい言葉がポンポン飛び交うが、中身は空洞。それらを担当している者たちの思考も一人よがりで、普遍という言葉からは程遠く独善という範ちゅうに止まったままだから進展する訳がない。ほくそえんでいるのは、その恩恵を受けているごく一部の階層の者たちだけだ

▼今年、状況は好転するのか、現状維持あるいは悪化するのか。一喜一憂することなく冷静に対処していきたい。(彦)

[朝鮮新報 2007.1.10]