ちいさな雪が、他のどこでもなく 川の中へ跳び込んでくるのが そして跡形もなく解けてしまうのが 川は やりきれなかった それで 雪が水面に降り立つ前に 流れの向きを変えようと あっちこっち動き回っては その度に激しい音を立てるのだった そんなことはつゆ知らず 無邪気に無邪気に 雪は降り続け 川は とうとう昨夜から 雪を体で受け止めようと 端のほうから薄氷を張り詰めていった
「詩が私に向かってきた」金龍澤編 (2001年 マウムサンチェク)
アン・ドヒョン
1961年慶尚北道醴泉郡生まれ。圓光大国文科卒。84年東亜日報新春文芸に「ソウルへ行く全奉準」が入選し登壇。99年第13回「素月詩文学賞」受賞。詩集に「あなたの側へ行きたい」「海辺の郵便局」など。小説では「鮭」が有名。(選訳、康明淑)
[朝鮮新報 2007.12.3]