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リレー

 わけなくこの年齢を四十は減らせる日
 万国旗ひるがえる小学校の運動会の日
 こんな日 最後の種目
 リレーが一番いい
 一周 歓呼の声に囲まれて走り
 力のかぎり走りぬいて
 自然にバトンを渡すのがいい
 未練なく渡して解放されるのがいい
 そのあと
 次の走者が全身で受け継いで一周するのがいい
 こんな日 どこに悲しむ子がいるというのか

 歴史とは何かと問われれば
 それはまさしくリレーのバトンを引き継ぐこと

 歴史のバトンを次に引き継ぐことのできない民族はどこにいるのか
 そいつらは未開だ
 そいつらは未開だ

 「祖国の星」(1984)

 コ・ウン

 1933年全羅北道群山生まれ。韓国初のノーベル文学賞候補として期待が高まっている詩人。日本の植民地時代、中学生のとき道端で拾ったハンセン病患者の詩集を読み詩人を志す。朝鮮戦争後に出家、1962年に還俗。民主化運動に奔走。2000年6月の北南最高位級会談のとき詩を朗読。詩集、小説、評論集等130余巻。今春、日本で「高銀詩選集・いま君に詩が来たのか」(藤原書店)出版。その中で「私は詩人として終わらないことを望む。いうなれば、詩人の果てにある詩になりたい」と語っている。(選訳、康明淑)

[朝鮮新報 2007.4.17]