孫らは
わたしを見ると
みな
「ハルベ!」と呼ぶ そんなとき わたしの口は
どんぶりのように開き
丸い目は
糸のように細くなる 学校では
ハラボシと教えるだろうに
不思議なものだ
なぜハルベと呼ぶのだろう わけはどうあれ
わたしにとってハルベという呼び名は
三冬の夜に飲む
蜜湯よりもなお甘い ソウルのヤンバンがたが
なんとおっしゃろうと
慶尚道のわが故郷では
珠玉のような「標準語」 今日は休日
孫たちのハルベという声に
朝から電話口が
かまびすしい ※ハルベ−慶尚道方言でおじいさん
ハラボジ−標準語でおじいさん
三冬―冬の三か月
ヤンバン(両班)−高麗・朝鮮時代の文官と武官の総称 「チョンソリ詩人集」
2004年 チョン・ファフム
1923年慶尚北道迎日郡生まれ。1937年渡日、1950年中央大卒。半世紀以上も民族教育に携わるかたわら在日の文学分野で活躍。現在も健筆をふるう。詩集に「感激の日」「願い」「たんぽぽ」など。訳者は以前、詩人の小学生のお孫さんが書いた作文を読んだことがある。タイトルは確か「ぼくのおじいさんは有名な詩人」。成長したお孫さんは今でも詩人を「ハルベ」と読んでいるのだろうか。(選訳、康明淑) [朝鮮新報
2007.3.12]
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