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 子どもたちの贈り物を買い デパートを出た
 妻と私はバスを待った
 吹雪がヒューヒューと街路樹を揺さぶり
 バスはなかなか来はしない

 一番前に並んでいた一人の若者が
 ふと振り返り私たちを見た
 彼の眼差しがやさしく言った
−ああ、赤ちゃんが寒そうだ!…

 吹雪はさらに声を荒げて鳴いた
 若者が明るい声で人々に呼びかけた
−みなさん あの方々を先に乗せましょう
 抱いている赤ちゃんの手足が凍えてしまう!

 とつぜん吹雪も息をひそめ
 人々はみな列を譲ってくれた
 …どう感謝したらいいものか?!…
 思いやりで暖まった
 停留所をどうにも去りがたく
 妻と私は顔を赤らめてバスに乗った

 上気した顔のまま
 家に着き 妻は言う
−あなた! 今晩のこの子のトルチャンチには
 あの方々もいっしょに居るようだわ
 こんなのは詩にはなりませんか?

 ※トルチャンチ 満一歳のお祝い

 1959年

 (朴山雲詩集「私が暮らす国」 1992年)

 パク・サヌン(1921−1998)

 慶尚南道陜川に生まれる。1945年に「柳」で文壇デビュー。代表作の「清渓川に寄せて」など統一を主題とした詩を数多く創作。軽快なリズムで始まる「統一列車は走る」は在日同胞にも愛唱され、同胞の集まるところでは、この歌が流れると大きな踊りの輪ができる。(選訳、康明淑)

[朝鮮新報 2007.1.30]