top_rogo.gif (16396 bytes)

〈北南首脳会談〉 日本各界人士 お祝いのメッセージ

日本も平和外交に踏み出せ 清水澄子 朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表

 7年前に、南北の同じ民族同士、統一に向かい互いに手を取り合った感激的な場面に重ねて、今回の南北首脳の対面を見ました。

 盧武鉉大統領が、軍事境界線を歩いて越えました。また、スピーチでは、目には見えない禁断の線に半世紀以上、人民たちが苦しめられてきたと指摘され、それにどう終止符を打つかが平和の課題であると述べられたことに意義があると思います。

 27年前の「7.4南北共同声明」が、現実的に政治の中で具体化され、民族同士の力で、着実に目標に向かって歩んでいます。南北の合意は、アジアの新しい1ページになります。

 また、国交樹立にむけ、米朝が大きく前進する中で、行われることにも大きな意義があると思います。

 それに引き換え日本は、南北首脳会談の成功に向けて役割を果たすどころか、拉致問題にこだわり、足を引っ張っています。世界が新しい変化を遂げています。日本もまず、13日に期限を迎える制裁措置を解除し、対話外交をはじめ、過去を清算し、日朝国交正常化を成すべく、貢献するべきです。これは、日本がアジアの発展に貢献することなのです。

 福田首相が所信表明の中で述べた「平和を作る外交」が実行されるように、国民自身が、強く要求していくべきです。

朝鮮戦争の終結に期待 長沼節夫 ジャーナリスト

 私たちがこれまでに見た軍事境界線は、板門店の停戦委員会のテーブルを南北に分断する頼りなげな細いテープだったが、今回、「南」の大統領夫妻がしっかりと踏みしめて「北」へ向かったのは舗装道路を横断する黄色幅広のラインだった。長い間、分断状態とはいえ南北双方は実は完全舗装の「王道」でつながれていると、映像を見て実感した。

 「会うことだけでも意味がある」と言われた00年の歴史的な初会談。その際発表された南北共同宣言の内容は一部を除き少しずつだが実現してきた。離散家族の対面、非転向長期囚の釈放、各分野での南北交流などだ。宣言中、最大の眼目である「統一問題」は南北「自主解決を確認」し合ったうえで、「南側の連合制案と北側の緩やかな高麗連邦制案には共通点があるので今後調整」で合意した。

 さてその上に立って今回の第2回だ。私が今回最も期待するのは朝鮮戦争を公式に終結させる合意である。名前は南北休戦協定でもいいし、平和協定でもいい。それは事実上、自主的平和統一に端緒を与えるものとなろう。言い換えれば両者間に休戦ないし平和協定が成立すれば、南の言う南北連合も北の言う高麗連邦もそう決定的に対立するものとは思えない。当面「1国2制度」という過渡期を認め合うかどうかが課題として残るが。1953年軍事停戦協定には中・朝・国連の3者が署名しただけであって、韓国は署名を拒否。以来、今でも形は「戦時下」であるからだ。

 核問題を話し合わずして何が南北会談かという意見も強いが、これこそ現在、6者協議という形で進行中のテーマであり、今回、提案、合意を見ないとしても失望はしない。

「完全な終戦」への踏み出し 熊岡路矢 日本国際ボランティアセンター

 旧インドシナ、パレスチナ、スーダンなど多くの紛争地域の現場で、国際協力NGOの一員として、和平実現への行動や会合に参加し、あるいはこれを目撃してきた。時に和平プロセスの停滞も経験した。

 10月2日午前、盧武鉉大統領は、韓国大統領としては初めて陸路で南北軍事境界線を越えて平壌に向かい、3日、金正日国防委員長(朝鮮民主主義人民共和国)との間で、首脳会談が行われた。今回の会談では朝鮮半島の平和を定着させる画期的な共同宣言が合意された。これは東アジアにとっても非常に意義深いことである。

 最大成果は、「朝鮮戦争の休戦状態」(1953年7月27日)から「完全な終戦」への具体的な踏み出しであろう。最終的な和平確立には、米国と中国を含めた4者間協議が、そして日本をふくむ地域各国の支持と参加も必要であろう。船出したばかりの、福田新政権の対応が注目される。

 朝鮮半島と地域の住民は、紛争および関連する諸課題の平和的解決の実現を50年来待望してきた。また世界の他地域の紛争解決への示唆と刺激にもなれば、とも思う。

平和統一には思いやりが必要 石川文洋 写真家

 2000年から7年ぶりの首脳会談を心より歓迎する。今、世界中で南北が対峙している国は朝鮮だけだ。私はかつて分断されていたベトナム、イエメン、ドイツにも行ってきた。朝鮮の統一は人々の悲願であり、世界中の人たちが願っていることである。

 統一を平和的に実現するためには話し合い、思いやりの気持ちが必要だ。それは、家庭、学校、近所、友人などの小さな社会においても言えることで、北と南でもそれは同じである。相手を理解し、尊重する姿勢を持つことが大切なのだ。そのためにも話し合いの場は多いほうが良い。2回目の首脳会談を持ったことはすばらしいことである。

 今回、盧武鉉大統領が軍事境界線を越えて平壌へ行ったのも良いことである。あの場面を見ていて感動した。今後、多くの人が自由に行き来できることを期待している。トップが交流を深めることによって、スポーツや文化など、あらゆる面での交流がますます盛んになることを願っている。

 分断国家として残る最後の国、朝鮮が統一すれば、それは朝鮮民族の喜びだけではなく、アジアの人々の喜びでもあり、それは世界中の人々の喜びでもある。

 日朝問題については、統一問題と同じように平和的に正常化されることを願っている。そのためにはまず相手のことを理解することが大事だ。

 日本は植民地時代にどれほど朝鮮の人々を苦しめただろうか。その日本が現在、拉致問題や核問題で朝鮮を非難ばかりしている。植民地支配はあってはならないこと、そして、核も拉致もあってはいけないことである。それをお互いに反省し話し合わなくては前には進めない。

 日朝関係を平和的に解決するという大前提のうえに立って、お互いの信頼関係を築いていかなくてはいけない。

 朝鮮半島の平和統一と日朝国交正常化の実現を心から願っている。

[朝鮮新報 2007.10.6]