〈北南首脳対面〉 日本各界 お祝いのメッセージ |
平和へのすばらしい動き 平山郁夫 ユネスコ親善大使・前東京藝大学長 平壌での7年ぶりの南北首脳会談の実現は、すばらしい歴史的な出来事です。朝鮮半島の和解と統一だけではなく、日朝関係の改善にも大きな契機となることでしょう。 この大きな流れがスピードアップして、東アジアの平和への動きが一段と進むように心から祈っています。 私は長年、高句麗壁画古墳のユネスコ世界遺産登録の支援を続けて参りました。古代に花開いた高句麗文化は、日本だけでなく東アジア、人類の宝として守っていくべきだという強い思いがあったからです。 東アジアで平和と安定が実現し、日朝間においても文化の面で風通しが生まれ、正常化へのステップになることを願っています。 日本も乗り遅れるな 前田哲男 軍事ジャーナリスト 盧武鉉大統領が軍事境界線を歩いて渡る場面をニュース中継で見ながら、大変感動しました。ここは私自身も北から、南から訪れた場所ですが、どうしても越えられなかった場所です。 半世紀以上も分断の障壁に阻まれて越えることができなかった軍事境界線が、歩けばたった一歩で越えられる所であること、さらに、朝鮮半島の大地がつながっていることを実感させてくれました。 世界中の注目の中で、開かれている南北首脳会談が、大地をしっかり踏みしめて行われ、大きな成果があることを願っています。 北京で開かれた6者協議に関しても、ブッシュ政権が、クリントン政権末期のペリー合意に従って、平和的な話し合いによって解決するという原点にやっと戻ってきました。2期8年という無駄な時間が流れ、その間朝鮮半島の平和は足踏み状態が続きましたが、米国も朝鮮半島における平和の確立なくして、非核化のゴールはありえないことに後ればせながら気づいたのです。 しかし、6者の中で一番後れているのが肝心な日本政府ですが、政権が交代して、やっと気にしはじめているようです。国際社会の中で、日本だけが置いてきぼりをくうだけでなく、朝鮮半島と日本の悠久な歴史の中においても足踏み状態を続けることになるのです。日本も是非、南北の動きに歩調をあわせて、東北アジアの平和の歩みに乗り遅れないようにすべきです。 全身で喜び表す人々 浅野健一 同志社大学教授 待ちに待った朝鮮と韓国の2回目の首脳会談が始まった。盧大統領を歓迎する多くの朝鮮の人々の目が輝いている。金正日総書記と大統領夫妻の姿を見て、大きくジャンプして喜びを表す人たちもいた。 大統領が初めて歩いて38度線を越えた際のスピーチは、テレビを見る世界中の人々の心に響いたであろう。朝鮮民族に多くの苦痛を与えてきた「見えない線」が存在する主要な原因は、日本による102年前の武力侵略とその後の人倫に反する強制占領である。日本当局は日帝崩壊後も過去の清算を怠り、朝鮮に対する敵視政策を続けてきた。 日本のマスコミは、NHKが9月30日に行われたソウルの首脳会談反対の集会(時代錯誤のイデオロギー集団のショー)と、会談に批判的な「街の声」だけを詳しく伝えるなど、相も変らぬ不公平報道を続けている。国際社会が6者協議を軸に緊張緩和へと大きく進展する中、首脳会談を機に、北南の政府と人民が統一に向けて確実に前進することを確信する。 安倍政権が自壊した後に登場した福田政権が朝鮮に対する不当な制裁を直ちに止め、東アジアの平和と繁栄のために地域の一員として、貢献させるために一市民として努力を継続していきたい。 アジアの平和は目前に 伊藤成彦 中央大学名誉教授 7年ぶりに南北の首脳が対面しました。8月末に予定されていた首脳会談は、水害に見舞われて延期になりました。7年ぶりの対面を目の当たりにして、ようやく実現されたというのが強い印象です。 盧武鉉大統領のスピーチ、大統領として初めて歩いて38度線を越えたことは、南北間の距離を、うんと縮めたと思います。 南北の分断は、朝鮮民族が招いたことではありません。6者会談が、依然難航しているのも、第2次世界大戦以降から続けている日米のアジア支配政策が原因であります。 7年前、金前大統領が、南北統一、東北アジアの平和の扉を開いたが、その点において今回は、よりいっそう切実で重要な意味があると思います。 南北首脳会談で成果がでれば、6者会談も自ずと成功します。朝米関係の修復、南北の平和協定が結ばれれば、アジアの冷戦が終わります。アジアの平和は目前です。もう最後の詰めの段階まできています。 南北首脳会談の合意、そして発展するであろう6者会談に日本がどう対応していくのか、注目しています。 [朝鮮新報 2007.10.3] |