〈朝・日平壌宣言発表5周年〉 大阪、京都で日本市民らが集会 国交正常化の早期実現を |
対朝鮮敵視政策中止、制裁解除求める 朝・日平壌宣言の発表5周年(9月17日)に際し、大阪と京都で集会が行われ、国交正常化の早期実現と10月2〜4日に行われる北南首脳会談への熱烈な支持が表明された。集会には同胞、そして多くの日本市民が参加。国交正常化実現を求める世論の広がりをうかがわせるものとなった。一方、集会では朝鮮での水害支援活動への協力が呼びかけられ、多くの募金が集まった。 大阪 首相あてに要請文
「日朝国交正常化の早期実現を求める市民連帯・大阪」の主催で15日、北区民センターで行われた「日朝ピョンヤン宣言5周年記念の集い」には、約700人が参加し会場を埋め尽くした。 主催者あいさつを行った有元幹明共同代表は、朝鮮での水害により首脳会談は延期になったものの、南北関係は着実に前進していると述べながら、近い将来、釜山から列車に乗って平壌に行くツアーをかならず実現させようと呼びかけた。 集会では、大阪経済法科大学太平洋研究センター所長の武者小路公秀氏と朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表の清水澄子氏による対談が行われた。韓国問題研究所代表の康宗憲氏がコーディネーターを務めた。 対談では、@東アジア諸国が共有できる歴史認識とは何か、A朝鮮半島の非核化のための6者会談など現在の情勢、B新たな時代を切り開くうえで市民社会ができることは何か−の3点について話し合われた。 武者小路氏は、アジアの共生と日朝国交正常化で損をするのは、米国内で朝鮮の政権崩壊を願っている勢力、日本では朝鮮の「脅威」を口実に核武装までも含む軍事強化を考えている勢力だと指摘。米国と日本で起きている変化を長期的に安定させるためには、「不安定の弧」全体での「反テロ戦争」を鎮めるか、もしくは「反テロ戦争」から北東アジアを切り離す必要があると強調した。そして、日朝国交正常化は長期的な平和共存、平等互恵の関係を目指さないかぎりアジアの共生にはつながらないとしたうえで、そのために日本は米国への追随をやめ、平和憲法を守り、平壌宣言の実現に努力することが不可欠だと強調した。 清水氏は、日本社会に根強くはびこっている二重規範と植民地主義に基づく安倍政権の対朝鮮強硬政策は破たんしたと述べながら、「拉致問題の解決」を内閣の最重要課題とし日朝交渉を断絶させたばかりか、朝鮮学校や総連に対する弾圧などにより排外主義をまん延させたと語った。 そして、このような状況を打開するためには「民衆の連帯が北東アジアの平和を創る」という発想が重要だとしたうえで、南朝鮮の女性たちとの交流経験について触れながら、朝鮮との交流、国交正常化に向けたさまざまな活動に取り組むべきだと強調した。 康宗憲氏は、朝鮮に対する冷静な認識と朝米関係についての正確な理解を持つことの重要性について言及しながら、6者会談は朝米両国が同時行動の原則に沿って包括的な解決を志向すれば実りを得ることができると指摘。日本政府は、日朝交渉を「拉致交渉」に局限した従来の制裁外交から転換し、平壌宣言に沿って和解、共存外交を模索するべきだと語った。 集会では、内閣総理大臣にあてた緊急要請文が朗読され、朝鮮に対する人道支援を早急に実施することと「万景峰92」号の往来を直ちに認めること、対朝鮮「制裁」を解除することなどを強く求めた。 京都 集会宣言を採択
「平壌宣言5周年ぴーすにっこり9.16 in京都」(16日、京都府部落解放センター。主催=「東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット」)には、約100人が参加した。 集会では、主催者を代表して瀧川順朗共同代表があいさつした。瀧川代表は、平壌宣言の発表から5年が経ち、朝鮮半島を取り巻く情勢が6者会談の進展や朝米の対話ムードなど好転しているにもかかわらず、日本はいまだに敵視政策を続けているとしながら、安倍首相が退陣しても本質上は何も変わっていないと指摘。米日軍事協力や憲法改悪など、一つひとつを問題視したたかっていかなければならないと強調した。 集会では、総連中央の徐忠彦・国際統一局長が「変化する朝鮮半島情勢と在日朝鮮人弾圧の背後にあるもの」と題して講演した。 徐忠彦局長は、第2回首脳会談に象徴されるように北南間では和解が進んでいると述べながら、今回の首脳会談は朝鮮民族にとって有益な国際環境を作るきっかけになるだろうと語った。 そのうえで、日本当局による総連と在日朝鮮人への弾圧は日本の民主主義弾圧へとつながると指摘し、10月13日に期限を迎える対朝鮮経済制裁の解除を強く求めた。 集会では、劇団水曜日による「海を越えてつながる私たち」が上演されたほか、集会宣言が採択された。 「にっこりネット」は、2004年10月に行われた「平壌宣言2周年10.31京都のつどい」を機に、在日同胞と日本人団体、個人の共同の取り組みとして、朝鮮半島の平和と自主的平和統一を願い、日朝国交正常化と日本政府による植民地支配の謝罪、犠牲者への賠償を求め、在日同胞の民族的諸権利と生活を擁護していくための活動に取り組んでいる。(李松鶴記者) [朝鮮新報 2007.9.22] |